9月21日妥当レンジ 23,500円~25,400円
貿易戦争の影響が顕在化するまでのユーフォリア!

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<日米貿易協議(FFR)、首脳会談次第では一段高も>
■過去2週間で日経平均株価は、1,500円余り上昇した。1)米国の中国への制裁関税第3弾が市場に織り込まれることによって、市場の警戒感が一時的にせよ後退したこと。加えて追加関税率が年末までは10%に抑えられたこと。2)米国経済の好調から長期金利が3%を超えて、円安トレンドが続くと目されたこと。3)NY株式市場で最高値を更新していること。4)トランプ政権に対するスキャンダルが一旦出尽くしたこと。5)日銀金融政策決定会合、自民党総裁選挙が既定路線で通過したこと。リスク警戒が後退する中で日本株の割安感が注目された。
■米中貿易戦争に関しては、市場には楽観論も存在する。米中がそれぞれ関税をかけたとしてもそれを政府が溜め込むのではなく、財政出動などによって還元するならばマクロ的には変わらないというような見方もあり、日本がメリットを受けるとの見方も存在する。しかし、IMFは米中貿易戦争によって米中それぞれ2019年に最大0.9%の実質GDPの下押しになる、世界経済の成長率も最大0.7%程度の押し下げられる要因になるとの分析をしているとの報道がある。
■足もとの米国経済は減税効果もあり非常に強い状態にある。中国も8月分の統計においてはまだ減速感は殆ど見られない。中国への制裁関税第3弾の影響が確認できるのは10月分の統計となる。それが公表される11月初旬から中旬くらいまでは、円安が進行すれば楽観に拍車をかけることも考えられる。
■本日(25日)日米貿易協議(FFR)が、26日には日米首脳会談が予定されており、要求内容やその実現に向けた手段(脅し)が急進的なものでない限り、一時的にはリスクオンが強まることも考えられる。

 

<「コンセンサスDI」は4週連続で来期・再来期50%割れ!>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は、全期間でマイナス。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)も全期間で50%割れ。来期・再来期は4週連続で50%を下回った。NY株式市場の好調と円安を背景に目先的にはまだ上昇基調が継続する可能性もあるが、賞味期間は長くはないと考える。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

23,500円~25,400 (前回22,900円~24,800円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月21日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月21日)

今期予想EPS 1402.84円 (前週 1403.25円)
来期予想EPS 1584.44円 (前週 1586.27円)
再来期予想EPS 1626.75 (前週 1628.85円)
今期予想PER 17.02 (前週 16.46倍)
来期予想PER 15.07 (前週 14.56倍)
再来期予想PER 14.67 (前週 14.18倍)
来期予想PBR 1.21 (前週 1.16倍)
来期予想ROE 8.02% 前週 7.98%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.48% (前週 7.53%)

9月21日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

TIW1

来期・再来期コンセンサス予想EPSは、頭打ち。


TIW2来期予想ベースのプラス企業比率は、 50.0%→48.347.644.047.7%

再来期予想ベースのプラス企業比率は、52.0
49.3
45.744.448.4%

4週連続で%割れ、そろそろ株価にも影響が。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。