6月15日妥当レンジ 23,600円~25,500円
急速にセンチメント悪化!模様眺めから上値重い展開
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米中貿易戦争は過熱化へ>
■12日の米朝首脳会談への期待感から日経平均株価は23,000円を一時的に回復したものの(12日)、米中の貿易摩擦の激化が懸念されることや、ドイツ・メルケル政権の不安定化、英国の離脱法案の議会審議の混迷、中国の経済指標の悪化、大阪地震の発生等、を受けて市場センチメントは急速にリスクオフに傾いている。
■米国は中国の知的財産侵害に対する制裁発動に向けて(500億ドルの内)340億ドル相当に対して25%の追加関税を7月6日に発動することを発表(15日)。これに対抗して中国も同じく7月6日に同額の追加関税を発動することを発表した(16日)。ライトハイザーUSTR代表は「次の段階は米国の技術を買おうとする中国の投資を規制する」と述べ(15日)、トランプ大統領は新たに2,000億ドル相当の中国からの輸入品に10%の追加関税をかける検討を指示した(18日)。水面化で両国は協議を行っていると考えられるものの、表面的には激しさを増しており、両国のみならず周辺国経済への影響も懸念される。
■14日発表の中国経済統計(鉱工業生産・固定資産投資・小売売上高)はいずれも市場予想を下回った。政府の融資規制等の影響を受けたものであるが、今後輸出にも影響が及ぶ可能性を考慮すると楽観できる状況ではない。
<大阪地震のインバウンドへの影響が心配>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は来期が前週比若干のマイナス、再来期が若干プラス。(向こう1ヵ月くらい)暫くは膠着した状態が予想される。輸出関連が米中の貿易摩擦によって動き難い中で、大阪地震のインバウンドへの影響が懸念される。もともと個人消費が心もとない状態にある消費セクターには大きな逆風。
■メルカリ(4385)の上場に期待が集まるものの、それによって換金売りの対象となる中小型株も多いと思われるだけに一長一短。当面は全体的に模様眺めから上値の重い商状が続きそうだ。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
23,600円~25,500円 | (前回23,400円~25,400円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月15日)
今期予想EPS | 1373.46円 | (前週 1365.78円) |
来期予想EPS | 1582.28円 | (前週 1583.11円) |
再来期予想EPS | 1629.25円 | (前週 1629.06円) |
今期予想PER | 16.64倍 | (前週 16.62倍) |
来期予想PER | 14.44倍 | (前週 14.34倍) |
再来期予想PER | 14.03倍 | (前週 13.93倍) |
来期予想PBR | 1.19倍 | (前週 1.18倍) |
来期予想ROE | 8.23% | (前週 8.23%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.80% | (前週 7.81%) |
6月15日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
まだコンセンサス予想EPSのトレンドは大丈夫。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 59.3%→54.1%→53.6%→56.8%→51.2%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、61.5%→62.4%→51.4%→60.4%→56.7%。
大阪地震によるインバウンドへの影響が心配。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |