6月8日妥当レンジ 23,400円~25,400円
米朝首脳会談が円満に通過し、目先的にリスクオン!

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<ECB理事会への注目度が高い>

■本日(12日)の米朝首脳会談はトランプ大統領と金正恩委員長の1対1の会談の後、拡大会合に入った。トランプ大統領は、「これまで過去の政権ができなかった問題だ。協力することによって成功できると思う」と述べ、円満なスタートとなった。非核化の工程の協議など今後の道のりは容易ではないと考えられるが、ひとまず市場はリスクオンに動くものと思われる。
■今週は、米FOMC(12-13日)、ECB理事会(14日)、日銀金融政策決定会合(14-15日)と中央銀行の政策決定会合が続く。注目度は高いがいずれも市場を大きく動かす要因にはならないと考える。
■FOMCでは利上げは確実視されているため、サプライズは無いと言えるが、年内にあと何回(1or2)の利上げが行われるかに注目が集まっており、パウエル議長の記者会見が注目される。
■ECBは9月まで年初から月間300億ユーロの債券買入れを行う予定であるが、10月以降についての方針が示されるかに注目が集まっている。今回もしくは7月の会合で示されると予想されている。
■日銀の緩和策に関しては、経済効果が薄い一方で銀行経営に悪影響を与えている、として見直しの可能性が示唆されているが、修正が行われるとするならば展望レポートが出される次回(7/30-31)との見方が有力である。
■9日に閉幕した日米欧主要7カ国首脳会議(G7)では、米国の関税発動策に非難が集中した。「保護主義と闘う」との首脳宣言も閉幕後にトランプ大統領がツイッターで否定、加えて、自動車の輸入関税の検討も示唆した。今後は米国を巡る通商問題が最大のリスク要因となると考える。
■「IFIS/TIWコンセンサス225」は来期・再来期の予想EPSが堅調に増加。まだ、企業業績見通しに対する陰りは無く、北朝鮮非核化の前進から世界的リスクオンで円安が進むこともあり、日本株は割安感から上昇余地が大きいと考える。内需(特に個人消費)は引き続き弱いことから、輸出関連に妙味が大きいと思われる。ただし、自動車関連は米国の輸入関税の導入の可能性から手がけ難い状況が続くと考える。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

23,400円~25,400 (前回23,100円~25,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月8日)

今期予想EPS 1365.78 (前週 1365.67円)
来期予想EPS 1583.11 (前週 1579.95円)
再来期予想EPS 1629.06 (前週 1625.58円)
今期予想PER 16.62 (前週 16.23倍)
来期予想PER 14.34 (前週 14.03倍)
再来期予想PER 13.93 (前週 13.64倍)
来期予想PBR 1.18 (前週 1.16倍)
来期予想ROE 8.23% 前週 8.26%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.81% (前週 7.88%)

6月8日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出




図1
決算一巡後もコンセンサス予想
EPSは穏やかなプラス傾向を継続。

 


図2期予想ベースのプラス企業比率は、 69.559.3%→54.1%→53.6%→56.8
再来期予想ベースのプラス企業比率は、63.061.562.451.4%→60.4
前週に比べてちょっと失速した感はあるが、50%超をキープ。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。