4月27日妥当レンジ 22,950円~24,750円
米経済指標が良好であれば米株高を受けて上昇局面へ
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<1-3月の米GDPは年率換算2.3%(前期比)と低調だったが>
■4月27日に発表された米国の第1四半期GDP(1-3月:一次速報)は、年率換算で前期比+2.3%と10-12月期の+2.9%を下回った。個人消費の弱さが反映されたものであったが、労働市場の逼迫や大規模な財政出動を踏まえれば、一時的な現象と見られている。同日に発表されたアトランタ地区連銀の経済予想モデル「GDPナウ」においては第2四半期は年率4.1%と予想されている。
■資源価格(特に原油)の上昇は、過去においては米ドルとは逆相関になりやすかった。しかしながら、今回は資源高とドル高が並存しており、これは米国景気の強さを示しているとの見方もある。今週は、ISM製造業(1日)、ADP雇用統計(2日)、ISM非製造業(3日)、雇用統計(4日)と米国主要統計の発表が続く。米景気の好調さが示されれば、NY株高が見込まれ、ゴールデンウィーク明けの日本株も大きく上昇する可能性が高いと思われる。
■26日のECB理事会、26-27日の日銀金融政策決定会合では特にサプライズは無かった。1-2日予定の米FOMCにおいてもサプライズは予想されていないが、会合後のコメント(経済見通し)がポジティブであれば、株価にはプラスに働くだろう。
■27日の南北首脳会議を経て、地政学リスクは一段と低下したものと考える。ただし、トランプ大統領の北朝鮮への要求は高いハードルが予想できるだけに注視が必要である。
<IFIS/TIWコンセンサス225:決算期移行により大幅プラス>
■4月27日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、対象決算期の移行が反映され、全期間で大幅なプラスであった。「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業数の比率)も60%超となった。その結果、日経平均株価の妥当レンジも大幅に上方シフトした。
■貿易摩擦問題は依然として存在するが、地政学リスクも緩和されつつある中で、株価は上昇局面を覗う展開と考えられる。ゴールデンウィーク中に海外市場が(プラスに)動く可能性もあるだけに、前向きなポジションを持つべきと考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
22,950円~24,750円 | (前回22,050円~23,800円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月27日)
今期予想EPS | 1361.29円 | (前週 1319.80円) |
来期予想EPS | 1435.86円 | (前週 1398.40円) |
再来期予想EPS | 1627.58円 | (前週 1574.47円) |
今期予想PER | 16.50倍 | (前週 16.79倍) |
来期予想PER | 15.65倍 | (前週 15.85倍) |
再来期予想PER | 13.80倍 | (前週 14.08倍) |
来期予想PBR | 1.18倍 | (前週 1.16倍) |
来期予想ROE | 7.52% | (前週 7.32%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.13% | (前週 6.96%) |
4月27日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
対象決算期の移行に伴って妥当レンジは大きく上昇。米景気に対するポジティブな経済指標が出てくるのであれば、NY株高と相俟って本格上昇基調に入る可能性も。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 44.8%→51.6%→47.7%→46.0%→68.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.2%→47.7%→44.6%→51.3%→62.2%。
「コンセンサスDI」も決算期移行を反映して60%超に。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |