2月16日妥当レンジ 21,850円~23,600円
当面は緩やかな回復基調が続くと予想

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<米インフレ指数は強含み>

■1月の米小売売上高(14日発表)は、前月比▲0.3%と市場予想(+0.2%)を下回ったが、米消費者物価指数(14日発表)は前月比+0.5%と市場予想(+0.3%)を上回った。消費の過熱感は決して強くないものの、労働需給の引き締まりを背景にインフレ率の上昇ペースはやや加速しているという状況のようだ。
■ドル円相場は16日に105.55円/ドルまで円高が進んだ。米金利上昇は円安を齎すと考えられていたが、逆(円高)に動いたのは、原油価格の上昇、ユーロ圏堅調な経済を背景にドル売りが広がった、購買力平価では円の水準は本来もっと高くなければならない、投機筋の円売りポジションの撒き戻し、リスクオフの円買い、などが要因として指摘されている。米10年国債利回りは16日に一時2.94%まで上昇した後に落ち着いているのは米国債への資金回帰と考えられる。 NY株式市場が一定の調整を経て落ち着きを取り戻しつつ有り、余震は未だ残るものの均衡状態に向かっていると考える。
■16日に政府は黒田日銀総裁の続投と雨宮日銀理事及び若田部早大教授の副総裁登用を国会に提示。これより日銀の出口戦略は緩やかに進むことが予想される。
■今週は23日の国内消費者物価指数(1月)以外は目だった経済指標はなく、来週28日のパウエルFRB議長の議会証言が注目される。
■北朝鮮に対する米国の圧力は、オリンピック(25日まで)によって抑えられているが、パラリンピック(3/9~18)後の米韓共同軍事演習の行方など緊迫感が高まる可能性も指摘される。それだけに、株価が一気に戻すという展開は考え難いかもしれない。

<IFIS/TIWコンセンサス225は、再び全期間プラス>

■2月16日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は再び全期間で前週比プラスとなった。コンセンサスDI(前週比プラスになった企業数の比率)も50超を安定的に確保。北朝鮮状勢への懸念が残ることから回復は穏やかなものになると考えるが、押し目には積極的に対応したい。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

21,850円~23,600 (前回21,850円~23,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月16日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月16日)

今期予想EPS 1296.04 (前週 1276.97円)
来期予想EPS 1383.62 (前週 1377.68円)
再来期予想EPS 1555.77 (前週 1534.18円)
今期予想PER 16.76 (前週 16.74倍)
来期予想PER 15.70 (前週 15.52倍)
再来期予想PER 13.96 (前週 13.94倍)
来期予想PBR 1.16 (前週 1.17倍)
来期予想ROE 7.39% 前週 7.54%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.03% (前週 7.14%)

2月16日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出






図1
引き続き、日経平均株価は妥当レンジ下限を下回る水準。しかし、オリンピック後の北朝鮮情勢次第では、2017年前半と同じ展開が続くリスクも。


 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 57.8%→55.9%→57.6%→56.5%→57.9%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、62.755.9%→61.257.4%→60.3
堅調なプラストレンド続く。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。