12月15日妥当レンジ 22,250円~24,050円
トヨタの決意表明で電池関連銘柄を中心に物色広がる

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<FRBの経済見通しは上方修正>

■12-13日の米FOMCにおいて従前の予想通りにFFレートの誘導目標レンジは引き上げられた。注目されたドットチャートは前回(9月)とほぼ同じであったものの、経済見通し(実質GDP)は、2017年~2020年まで全て引き上げられた。事前の期待感からドル高(12日:113.749円)が進んだ反動から、FOMC後は円高(112.031円:15日)に振れたものの、足もとでは112円台後半と落ち着いている。14日発表の11月の米小売売上高が市場予想を大幅に上回ったように米経済の基調は強い。
■15日に米共和党指導部は2018年から連邦法人税を35%から21%に引き下げることを最終決定。ロイターの報道(18日)によれば、20日にも上院が採択することが確実視されている。
■国内でも15日発表の日銀短観において大企業製造業の業況判断は25と前回(9月)から3ポイント上昇。11月の貿易統計(18日)も輸出数量が10ヵ月連続で前年同月を上回った。
■今週は、日銀金融政策決定会合(20-21日)、米PCEデフレーター(22日)が予定されている。
■トヨタ自動車(7203)は18日、2030年までに世界販売の約半分にあたる550万台以上を電動車(HV、PHV、EV、FCV)にすることを発表。それを実現させるために電池の開発・生産に30年までに1兆5,000億円を投じることを発表した。トヨタの決意表明は、日本の基幹産業である自動車関連への不安を払拭するとともに、リチウムイオン電池の材料・製造装置など関連銘柄の物色を促すことと予想される。
■引き続き、北朝鮮、エルサレム問題、ロシアゲートというリスク要因は存在するものの、日本株の割安感、堅調な経済環境、基幹産業の次世代化への対応など明るさが増しており、2018年も株価上昇が見込めると判断する。

 

<IFIS/TIWコンセンサス225 は全期間プラス続く>

■12月15日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、5週連続で全期間で前週比プラス。コンセンサスDI(前週比プラスとなった企業の比率)も来期ベースでは60超を5週連続維持。23,000円台への水準訂正は間近とみる。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

22,250円~24,050 (前回22,300円~24,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月15日)

今期予想EPS 1192.13 (前週 1190.91円)
来期予想EPS 1341.20 (前週 1337.51円)
再来期予想EPS 1512.39 (前週 1511.37円)
今期予想PER 18.92 (前週 19.15倍)
来期予想PER 16.82 (前週 17.05倍)
再来期予想PER 14.91 (前週 15.09倍)
来期予想PBR 1.24 (前週 1.25倍)
来期予想ROE 7.38% 前週 7.34%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.91% (前週 6.85%)

12月15日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出





図1
新年度を意識すれば割安感が強い。終値23,000円台は間近か!!


 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 60.865.169.064.960.4
再来期予想ベースのプラス企業比率は、57.7%→68.268.461.453.3%。
来期は5週連続60%超、高水準続く。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。