12月8日妥当レンジ 22,300円~24,100円
経済環境良好、米税制法案・暫定予算の決着から一段高へ

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<米政府の諸問題と地政学リスクは存在するが>

■先週は、モラー特別検察官がトランプ大統領および家族の口座情報等を求めてドイツ銀行に召喚状を送ったこと(5日)、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたこと(5日)から日本株市場は一時的に大きく下落したものの、底堅く推移し、昨日(11日)の日経平均株価は終値で高値を更新した。
■国内においては、GDP(7-9月)改定値が速報値より上方修正されたこと(8日)、国際収支の黒字が10月としては過去最高になったこと(8日)。米国では、暫定予算案において22日までつなぎ予算を可決したこと(7日)、11月の雇用統計において非農業部門雇用者数が前月比22.8万人増となり予想(19.5万人増)を上回ったこと。英国のEU離脱協議は合意文書に修正を加えることによって欧州首脳会議での協議へと前進したこと(8日)。中国の11月の貿易統計が輸出・輸入ともに市場予想を大きく上回ったこと(8日)。など、ポジティブな材料が続いている。
■今週は、米FOMC(12-13日)、ECB理事会(14日)が開かれる。米FOMCでは利上げは既定路線として折込済みであるが、経済見通しやドットチャートの公表に注目が集まる。経済指標では、11月の米小売売上高(14日)、日銀短観(15日)が発表される。
■北朝鮮、エルサレム問題、ロシアゲートというリスク要因は存在するものの、足元の経済環境は世界的に好調が持続しており、米税制改革法案や暫定予算などの目処が付けば市場はポジティブに反応するとみる。

 

<IFIS/TIWコンセンサス225 は全期間プラス続く>

■12月8日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、4週連続で全期間で前週比プラス。コンセンサスDI(前週比プラスとなった企業の比率)も60超が継続している。22,000円台から23,000円台への水準訂正を伺う展開にあり、年末に向けて一段高を期待する。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

22,300円~24,100 (前回22,300円~24,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月8日)

今期予想EPS 1190.91 (前週 1186.12円)
来期予想EPS 1337.51 (前週 1333.54円)
再来期予想EPS 1511.37 (前週 1504.76円)
今期予想PER 19.15 (前週 19.24倍)
来期予想PER 17.05 (前週 17.11倍)
再来期予想PER 15.09 (前週 15.16倍)
来期予想PBR 1.25 (前週 1.25倍)
来期予想ROE 7.34% 前週 7.32%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.85% (前週 6.84%)

12月8日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出





図1先週は下落からの戻りで底堅さを確認。再び23,000円にトライする展開を予想。


 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 54.1%→60.865.169.064.9
再来期予想ベースのプラス企業比率は、55.9%→57.7%→68.268.461.4
来期・再来期ともに3週連続60%超

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。