10月13日妥当レンジ 21,150円~22,850円
急ピッチの上昇から調整局面を伺う展開

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<日米ともに経済指標は好調>

■先週発表された日米の好調な経済指標等を受けて、日経平均株価は16日までに10連騰となった。
■国内では、9月の景気ウオッチャー調査(10日発表)の現状判断DIが3ヵ月振りに50を超えた他、8月の経常収支(10日)では38ヵ月連続黒字となるとともに8月としては過去最大の黒字幅となった。8月の機械受注統計(11日)では船舶・電力を除いた民需の受注額が前月比+3.4%と拡大、国内外で工作機械や運搬機械など幅広い分野での受注拡大が見受けられた。
■米国では、11日に発表されたFOMC議事録(9/19-20分)において、低インフレに対して懸念を抱きつつも年内もう1回の利上げには楽観的であることが確認された。9月の米小売売上高は前月比+1.6%、米消費者物価は市場予想をやや下回ったものの前月比+1.5%と上昇基調を維持した。
■また、10日に発表されたIMF世界経済見通しでは前回(7月)より2017年、2018年ともに若干上方修正された。
■今週は、18日:米ベージュブック、中国共産党全国代表者大会の開会、19日:中国実質GDP(7-9月)、中国小売売上高(9月)、中国鉱工業生産(9月)、20日:イエレンFRB議長講演、22日:衆議院選挙投開票、などが予定されている。
■日本株は依然として割安感が強いだけに、突破的な事象が生じない限りは堅調に推移すると考える。しかしながら、ここのところの上昇スピードが速いだけに、一時的な調整局面が訪れる可能性には留意したい。特に今週も上昇ピッチが続くようであれば、衆議院選挙結果が一旦材料出尽くしとなる可能性には注意したい。FRB人事の行方や北朝鮮動向も意識しておく必要があるだろう。23~27日に在韓米軍が非戦闘員の退避訓練を行うことも北朝鮮の反応も含めてマーケット心理に影響を与えそうだ。
■10月13日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間で前週比プラスとなった。と言ってもファーストリテイリング(9983)の新年度への移行の影響が強く出ている。基本的には調整を挟みながらも年内は米利上げを視野に上昇トレンドは維持されると考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

21,150円~22,850 (前回20,900円~22,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月13日)

今期予想EPS 1162.77 (前週 1162.66円)
来期予想EPS 1294.12 (前週 1285.40円)
再来期予想EPS 1444.47 (前週 1429.83円)
今期予想PER 18.19 (前週 17.80倍)
来期予想PER 16.35 (前週 16.10倍)
再来期予想PER 14.65 (前週 14.47倍)
来期予想PBR 1.22 (前週 1.21倍)
来期予想ROE 7.47% 前週 7.52%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.00% (前週 7.07%)

10月13日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出




図1漸く妥当レンジ内に株価が到達したものの、依然として割安感が強い。

 

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 50.0%→64.061.761.062.8
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.5%→57.1%→52.8%→65.365.9

サンプル数は少ないが、来期ベースは4週連続60%台を継続!

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。