7月14日妥当レンジ 20,750円~22,400円
もみ合い商状が続くが底堅い、1Q決算発表に期待
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<円安は、“行って来い”であったが >
■6日のISM非製造業景況指数、7日の米雇用統計の好調を受けて、為替は約114.5円/ドル(11日)まで一気に円安に振れた。しかし、12・13日のイエレン議長の議会証言がややハト派的な内容と市場に受け止められたことや、14日発表の米小売売上高・消費者物価指数が市場予想を下回ったことなどから、逆に112円台前半まで大きく円高への揺り戻しが生じている。
■今週は、日銀金融政策決定会合(19-20日)、ECB理事会(20日)が予定されている。政策変更は見込まれてはいないものの、総裁記者会見等から先行きの緩和縮小を市場が織り込むようであれば、株式市場は一時的に萎縮する可能性も考えられる。
■しかし、国内、欧米、中国など経済環境は堅調に推移している。10日発表の景気ウォッチャー調査(6月)では、現状判断DIならびに先行き判断DIのいずれもが3ヵ月連続で改善しており、50を回復した。13日発表の中国貿易統計(6月)も輸出・輸入ともに市場予想を上回る伸びであった。17日発表の中国4-6月期の実質GDP成長率も前年同期比6.9%と高めの成長率を維持している。
<コンセンサス予想はやや上向き方向>
■7月14日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期及び再来期ベースが前週比マイナスであった。ユニー・ファミリーマートHD(8028)、ファーストリテイリング(9983)など2月決算企業のコンセンサス予想がマイナスになったことが影響した。
■米国のトランプ政権に対する懸念がドル安を誘発している面は否めない、日本も都議選での自民党の大敗や安倍政権の支持率低下が株式の売り材料とされているが、自民党以外に政権を担える政党は現状は存在せず、取り越し苦労と思われる。
■前年の本決算がほぼ反映された5月26日時点からは全期間で僅かであるがプラスに推移している。これから本格化する3月決算期企業の1Q決算でプラスの方向感が確認できれば安心感から株価は上向くと期待する。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
20,750円~22,400円 | (前回20,550円~22,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月14日)
今期予想EPS | 1141.44円 | (前週 1142.73円) |
来期予想EPS | 1262.50円 | (前週 1260.79円) |
再来期予想EPS | 1367.60円 | (前週 1369.56円) |
今期予想PER | 17.63倍 | (前週 17.44倍) |
来期予想PER | 15.94倍 | (前週 15.81倍) |
再来期予想PER | 14.71倍 | (前週 14.55倍) |
来期予想PBR | 1.23倍 | (前週 1.22倍) |
来期予想ROE | 7.71% | (前週 7.71%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.20% | (前週 7.21%) |
7月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
日経平均株価はFRBの利上げスタンスへの市場の解釈による為替のブレから2万円を挟んだ展開が続いている。しかしながら、基本的にはバリュエーション面での割安感から底堅い。企業業績は堅調に推移しており、コンセンス予想EPSも緩やかなプラス推移にあり、1Q決算で業績が確認されれば上昇軌道に戻ると考える。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 53.1%→51.8%→52.3%→50.5%→57.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、47.1%→48.1%→51.9%→58.6%→46.6%。
サンプル数が少ないが、再来期ベースが再び50%割れ
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |