4月21日妥当レンジ 18,650円~20,200円
マクロン候補が決戦投票進出で市場のリスクオフ和らぐ

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<リスクオフの緩和から株価は反騰へ>

■23日に行われた仏大統領選挙(第1回投票)において、独立系中道候補のマクロン前経済相が僅かながらも首位に立ち、極右・国民戦線のルペン党首と5月7日に決選投票を行うこととなった。世論調査からは決選投票ではマクロン氏有利と看做されており、EU離脱を掲げたルペン党首の勝利の可能性は大きく後退した。それを受けて、リスクオフが緩和され、24日の東京市場では対ユーロ・対ドルで円安に動くとともに、日本株は大幅反発となった。
■今週から来週にかけて日欧米の中央銀行金融政策会合が続く(日銀=26-27日、ECB=27日、米FOMC=5月2-3日)。いずれも政策変更は見込まれていないが、要人発言には要注意。
■28日は国内経済指標(消費者物価、家計調査、失業率・有効求人倍率、鉱工業生産:3月分)の発表が目白押しであることに加えて、米国実質GDP(1-3月)速報値の発表が予定されている。米国の3月統計がやや弱含んだことでGDP成長率も低めになる可能性が指摘されている(10-12月は2.2%だった)。また、28日に米暫定予算切れとなることも不安要素であり、再びドル安・円高の動きが生じる可能性には注意したい。

 

<コンセンサス予想:来期・再来期ベースは、引続きプラス>

■4月21日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期ベースは東芝(6502)の影響からマイナスであったが、来期・再来期ベースではプラスを維持。「225コンセンサスDI」(前週比プラスとなった銘柄数の比率)は、サンプル数が少ないものの来期・再来期ベースで50%を上回った。
■20日発表された安川電機(6506)の新年度会社予想も高水準であり、決算発表のスタートは上々。今週は、25日:日本電産(6594)、26日:日立建機(6305)、ヤフー(4689)、花王(4452)、27日:オムロン(6645)、コマツ(6301)、ファナック(6954)、28日:ホンダ(7267)、信越化学工業(4063)、村田製作所(6981)、ソニー(6758)などの決算が続く。北朝鮮などリスク要因は残るものの、決算発表を受けてポジティブは反応が強まると考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,650円~20,200円 (前回18,400円~19,900円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月21日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月21日)

今期予想EPS 1058.32 (前週 1059.54円)
来期予想EPS 1166.83 (前週 1164.78円)
再来期予想EPS 1271.17 (前週 1271.15円)
今期予想PER 17.59 (前週 17.31倍)
来期予想PER 15.96 (前週 15.74倍)
再来期予想PER 14.65 (前週 14.42倍)
来期予想PBR 1.17 (前週 1.15倍)
来期予想ROE 7.35% 前週 7.33%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.01% (前週 7.03%)

*4月21日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出



図1
結果からすれば「妥当レンジ下限」を下回った水準が今回も「底」になった。リスクオフの流れが一巡するだろう5月中旬頃には本格反騰を期待する。

 


図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 60.2%→63.8%→48.5%→45.5%→57.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、58.4%→54.5%→44.8%→52.4%→55.3%。

サンプル数は少ないものの50%台回復。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。