3月17日妥当レンジ 19,150円~20,700円
より高く飛ぶためには、より身を屈めないといけない

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<まだまだ繰り返すが、日経平均2万円は切っ掛け待ち>

■米FOMC(14-15日)では事前予想通りに利上げが行われた。オランダ総選挙(15日)は反EUを掲げる自由党は伸びたものの第一党とはならずに、連立与党の自由民主国家党が議席を減らしつつも第一党を堅持。G20 財務相・中央銀行総裁会議(17-18日)においては、共同声明から「保護主義に対抗する」との文言が削除されたものの、米国から通貨安を批判する発言は特に見られず、波乱無く終えた。
■それにもかかわらず、為替市場でドル安・円高が進んだのは、1)米FOMCでの利上げは織り込み済みであったこと(=材料出尽くし)、2)FOMC後の記者会見でイエレン議長が従来どおり年3回の利上げを表明し、(4回の利上げの可能性を模索していた市場を)抑制したこと、が要因と考えられる。
■リスクイベントは無難に通過したものの、為替が円高に振れたことで、(TIWが可能性を示唆した)イベント通過後の日本株上昇は生じなかった。むしろ、トランプ政権の実行性の欠如が蒸し返され、NY株安・円高から本日の日本株は大きく下落している。
■今週は23日にイエレン議長の講演が予定されているものの、15日の記者会見を踏襲した内容と予想されるだけに期待は出来ない。反騰の切っ掛けは本決算(新年度会社予想)を織り込み始める4月上旬まで待たなくてはならないかもしれない

 

<コンセンサス予想(来期ベース)は、20週連続前週比プラス>
■3月17日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、引き続き全期間において前週比でプラスであった(全期間プラスは7週連続、来期ベースは20週連続)。「225コンセンサスDI」(前週比プラスとなった銘柄数の比率)も来期・再来期ベースともに50%超の高水準を維持。
■17日時点では、12ヵ月フォワードベースの予想EPSからの日経平均株価の妥当レンジは、20,120~21,800円と小幅ながら上方シフトが続く。足もとの株価調整はより高く飛ぶために身を屈めた状態と考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

19,150円~20,700円 (前回19,200円~20,750円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月17日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月17日)

今期予想EPS 1060.32 (前週 1056.53円)
来期予想EPS 1162.49 (前週 1159.30円)
再来期予想EPS 1271.24 (前週 1268.52円)
今期予想PER 18.41 (前週 18.56倍)
来期予想PER 16.79 (前週 16.91倍)
再来期予想PER 15.36 (前週 15.45倍)
来期予想PBR 1.24 (前週 1.25倍)
来期予想ROE 7.37% 前週 7.38%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.88% (前週 6.85%)

*3月17 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出



図1
揉み合い商状が続いており、上昇エネルギーは蓄積されつつある。

 


図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 62.1%→59.9%→64.9%→60.2%→59.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、55.9%→62.4%→55.5%→59.2%→57.8%。

引き続きプラストレンド(50%超)を維持! 間もなく2月期決算企業の本決算

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。