12月30日妥当レンジ 18,550円~20,050円
マーケットに勝つには“ナウイスト”で行こう!

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<2016年、殆どの予想は外れ続けたが>

■新年明けましておめでとうございます。本年のマーケットは大発会からロケットスタートになりました。昨年末が(ほぼ予想通り)押し目となったようです。
■思えば2016年は、英国のブレグジットに始まり、米大統領選挙、OPEC減産合意など(小職を含めて)メディアや専門家と呼ばれる人たちの予想はことごとく外れ続けました。これは毎年のことかもしれませんが、株価や為替の予想をするプロ(?)はあまり当たりません。そもそも高値・安値の水準・時期を当てること自体がおみくじを引くようなものと考えており、回答者の中でも明確な根拠をお持ちの方は少数ではないかと思います。小職も雑誌等のアンケートには回答しておりますが、あくまでも(アンケートをいただいた)その時点の妥当レンジを申し上げているだけです。
■株価(マーケット水準)は、企業収益の水準、方向性(=成長率)、金利、市場のリスクプレミアムの4要素で決定されます。その4要素を経済指標の動きとマーケットの動きにあわせて観察し、その時点で妥当と思われる水準を算出しているだけで、正直申し上げて未来予想を行っているわけではありません。もちろん、未来に対して一定の想定をおいてはおりますが、それに固執することは株式投資においては禁物であると考えています。何故なら株式投資は美人投票の側面を強く持っているからです。皆がリスクオンになるときにはある程度はそこに乗ってゆく必要もありますし、逆の場合も同様です。重要なことは常にニュートラルな視座で現時点を見つめることと思っています。未来予想を行う「フーチャリスト」ではなく、「ナウイスト」。刻々と変わる将来予測を常に現時点で把握すること。これが「IFIS/TIWコンセンス225」です。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 

<コンセンサス予想は前週比プラスが続く>
■12月30日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)はサンプル数が少ないながらも5週連続で全期間において前週比プラスであった。前週比プラスとなった銘柄数の比率(「225コンセンサスDI」)も、高水準をキープ。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,550円~20,050円 (前回18,750円~20,250円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月30日)

今期予想EPS 1010.48 (前週 1009.83円)
来期予想EPS 1100.15 (前週 1098.08円)
再来期予想EPS 1208.90 (前週 1206.17円)
今期予想PER 18.92 (前週 19.24倍)
来期予想PER 17.37 (前週 17.69倍)
再来期予想PER 15.81 (前週 16.11倍)
来期予想PBR 1.27 (前週 1.30倍)
来期予想ROE 7.30% 前週 7.32%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.79% (前週 6.77%)

*12月30 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

%e5%9b%b31
昨年末の調整は一時的なもの。株価にはまだ十分割安感が残っている。

 


%e5%9b%b32
来期予想ベースのプラス企業比率は、 62.1%→64.0%→70.3%→72.7%→65.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、58.2%→67.7%→68.9%→68.2%→69.8%。

サンプル数は少ないものの、高原状態を維持!!

 

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。