11月18日妥当レンジ 17,250円~18,650円
中期的に企業業績の改善から株価上昇を見込む

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<110円/ドルを前提にコンセンサス予想は上向く>

■10月の米小売売上高(15日発表)は、前月比+0.8%と予想(+0.6%)を上回って好調。17日のイエレンFRB議長の議会証言においても、「比較的近い利上げが適切である」と12月のFOMCでの利上げを示唆する発言であった。トランプ減税が実行されれば、米インフレ率上昇と短期的な景気上ブレから金利高の可能性が予想されており、当面はFOMC(12/13-14)に向けてドル高基調が維持されるものと考えられる。
■アナリストコンセンサスは、110円/ドルを視野に来期・再来期の予想EPSの上方シフトが生じはじめた。年末年始に向けて投資家の目が翌期に向かうことも考慮すれば、現株価水準には割高感はないと考える。2017年中に日経平均株価20,000円も視野に入って来るだろう。為替面では輸出企業に分があるようであるが、米国が保護主義に向かう可能性もあるだけに単純ではなさそうだ。強気相場においては、やや割高感はあっても好業績・高成長の独自性のある企業をポートフォリオの中心に置きたい。
■少なくとも2017年前半まではマーケットの上昇を予想するものの、調整局面はあるだろう。11月下旬から12月上旬にかけてのリスク・イベントとしては次のようなものが挙げられる。OPEC総会(11/30):減産に向けた協調が図れるか否か、イタリア憲法改正に関する国民投票(12/4):否決であればレンツイ首相が辞任、ECB理事会(12/8):金融引締め的な政策が打ち出される懸念。
■米国経済指標の発表は、ADP雇用統計(11/30)、ISM製造業景況指数(12/1)、米雇用統計(12/2)、ISM非製造業景況指数(12/5)。発表内容が順調であれば、FOMCでの利上げを速めに織り込むことも予想される。

 

 

<来期・再来期のコンセンサス予想EPSは上昇>
■11月18日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は来期・再来期で前週比プラス。前週比プラスとなった銘柄数の比率は、来期・再来期ともに50%を上回った。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,250円~18,650円 (前回16,850円~18,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月18日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月18日)

今期予想EPS 1007.97 (前週 1010.46円)
来期予想EPS 1072.85 (前週 1072.19円)
再来期予想EPS 1179.66 (前週 1177.55円)
今期予想PER 17.83 (前週 17.19倍)
来期予想PER 16.75 (前週 16.20倍)
再来期予想PER 15.23 (前週 14.76倍)
来期予想PBR 1.19 (前週 1.14倍)
来期予想ROE 7.12% 前週 7.06%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.73% (前週 6.82%)

*11月18 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

%e5%9b%b31
再来期を視野に置けば、20,000円も視野に入る。

 


%e5%9b%b32来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.0%→48.9%→45.9%→46.3%→56.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.1%→54.7%→40.0%→47.4%→53.3%。

110円/ドルを織り込み始めた。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。