9月30日妥当レンジ 16,250円~17,550円
サプライズ減産を機に強気シナリオが復活か?

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<大統領候補討論会はクリントン氏優勢>

■26日の第1回大統領候補討論会はクリントン氏の優勢で終わった。その結果、ブラックスワン(トランプ大統領)の出現確率の低下から市場は落ち着きを取り戻しつつある。28日には石油輸出国機構(OPEC)の臨時総会で予想外の減産合意も米経済には追い風である。ドイツ銀行の信用不安によって一時的に欧州危機の連想が広がったものの、米司法省の和解金減額報道から一旦は沈静化している。
■中国の財新製造業PMI(購買担当者景況感)は、50.1と3ヵ月連続で50を上回った。国内経済指標は、8月の鉱工業生産が市場予想を上回ったものの、消費は停滞感が強い(家計調査、消費者物価指数)。9月の日銀短観では6月比で横ばい状態、機械を中心に円高の影響が表れている。
■3日発表の米ISM製造業景況指数が市場予想を上回り好調であったこともあり、今週発表される雇用統計を初めとした米国統計への期待感が強まっている。主要な経済指標発表・イベントは、4日:副大統領候補討論会、IMF世界経済見通し、5日:ISM非製造業景況指数、ADP雇用統計、6日:G20財務相・中央銀行総裁会議、7日:米雇用統計と続く。指標の内容によっては12月のFOMC(12/13-14)での利上げを織り込むドル高トレンドが意識されそうである。
■日本株は7月2週目から日経平均株価で16,000円から17,000円のボックス相場が続いているが、日米の中央銀行の方向感が見えなかったことや中国経済への懸念や原油価格の動向に影響を受けていたと考えられる。これらの要因がクリアになりつつある中で、上離れる展開が期待される。

<コンセンサス予想EPSは来期・再来期プラス>
■9月30日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、来期・再来期がプラスであった。前週比プラスとなった銘柄の比率は、来期53.5%、再来期50.0%と50%を回復している。日経平均株価は妥当レンジ下限付近で推移していたが、上向くことが期待できよう。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,250円~17,550円 (前回16,500円~17,850円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月30日)

今期予想EPS 980.52 (前週 985.37円)
来期予想EPS 1062.92 (前週 1061.07円)
再来期予想EPS 1167.75 (前週 1166.57円)
今期予想PER 16.78 (前週 17.00倍)
来期予想PER 15.48 (前週 15.79倍)
再来期予想PER 14.09 (前週 14.36倍)
来期予想PBR 1.10 (前週 1.13倍)
来期予想ROE 7.10% 前週 7.13%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.99% (前週 6.95%)

*9月30 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

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株価は妥当レンジ下限で推移。第1回大統領候補討論会でクリントン氏の優勢から底割れは回避。OPECのサプライズ減産合意から反転機運が高まる。

 


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来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.8%→46.1%→50.6%→47.2%→53.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、45.0%→47.4%→52.1%→39.3%→50.0%。

サンプルは少ないながらも50%台回復。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。