9月16日妥当レンジ 16,200円~17,500円
一時的な“落胆”も、悪抜けとなる可能性が強い

2016/09/21

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<日米の金融政策決定会合を前に息を潜める展開>
■20-21日の日米の金融政策決定会合を控えてマーケットは膠着した状態が続いている。先週は米国経済統計発表(15日:米小売売上高、米鉱工業生産、16日:米消費者物価指数)によって為替とNY株式が振れたものの、17日にニューヨーク・マンハッタンなどで発生した爆破事件によって、9月利上げの可能性は後退したと考えられている。
■日銀は今回の政策決定会合で、金融緩和策の総括検証を行う予定であるが、これまでの黒田総裁発言や新聞等にリークされた内容からは、1)金融緩和を継続する、2)長短金利差の確保(=イールドカーブのスティープ化)、3)マイナス金利の深堀り、4)サプライズ型からフォワードガイダンスを核とした市場と対話型への変更、が見て取れる。
■時間的には米FOMCよりも日銀の発表が前になるだけに、今回は追加緩和が行われたとしても補完的な処置に留まると筆者は考えているが、市場の追加緩和期待が大きいだけに一時的には落胆に支配される可能性が高いだろう。
■しかし、マイナス金利の深堀りを今後は基本政策に置く事を総裁会見等を経て浸透してゆけば、金融緩和余地がまだ残っていることを、市場は前向きに評価すると思われる。

<コンセンサス予想EPSは来期・再来期で小幅マイナスだが>
■9月16日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、来期・再来期ベースで小幅マイナスとなった。しかしながら、前週比プラスとなった銘柄の比率は、来期50.6%、再来期52.1%と50%を回復している。
■先週からの調整によって予想PERでも割安感が見られるようになっている。日米の金融政策決定会合の通過によって悪抜けになる展開を予想する。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,200円~17,500円 (前回16,550円~17,850円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月16日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月16日)

今期予想EPS 989.57 (前週 984.11円)
来期予想EPS 1061.40 (前週 1063.39円)
再来期予想EPS 1168.07 (前週 1171.55円)
今期予想PER 16.69 (前週 17.24倍)
来期予想PER 15.56 (前週 15.95倍)
再来期予想PER 14.14 (前週 14.48倍)
来期予想PBR 1.10 (前週 1.13倍)
来期予想ROE 7.05% 前週 7.06%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.91% (前週 6.84%)

*9月16 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 


%e5%9b%b31
依然としてやや割安感のある水準。業績面の下ブレ懸念が弱まりつつあり、金融政策決定会合で一時的に下押しがあっても上昇トレンドに向かうと考える


 

%e5%9b%b32来期予想ベースのプラス企業比率は、 42.1%→54.7%→48.8%→46.1%→50.6%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.0%→52.6%→45.0%→47.4%→52.1%。

来期・再来期ともに50%回復。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ