5月13日妥当レンジ 16,600円~17,950円
消費増税先送り、大型補正予算の思惑に揺れる展開

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<18日発表予定の1-3月GDP一次速報、実態マイナス成長>
■米経済への信頼感から為替は108~109円/ドルとやや円安気味に推移している。13日に発表された4月の米小売売上高、5月のミシガン大消費者信頼感指数はいずれも市場予想を大きく上回った。
■しかし、中国の経済指標からはまだ改善を表すものが見られない。14日発表の鉱工業生産(4月)、固定資産投資(1-4月)、小売売上高(4月)のいずれもが市場予想を下回った。
■今週は、18日発表の1-3月の国内GDP一次速報に注目が集まる。市場予想は+0.3%(実質)とプラスであるが、閏年の影響が約1.2ポイントの影響があることを考慮すれば実態はマイナスである。マイナス成長は2四半期連続となる。これを切っ掛けに消費増税先送りや大型補正予算への期待から株価は思惑的な上昇が見込まれると考える。
■やや注意しなければならないのは、20-21日のG20財務相・中央銀行総裁会議において、ドル安を容認するような発言が出てくる可能性である。
■決算発表が出揃った。コンセンサス予想を見る限り魅力的な見通しではないものの、現株価水準にはやや割安感がある。17,000円を目指す動きを期待する。

 

<コンセンサス予想EPSは全期間プラスだが>
■5月13日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、対象決算期の移行から全期間がプラスとなった。前年度における予想EPSの水準と株価の位置に当てはめると以下の通りである。今期ベースでは昨年12月下旬の19,000円、来期ベースでは本年1月中旬の17,500円、再来期ベースでは本年3月上旬の17,000円。予想EPSの方向性が重要であうことから単純には当てはまらないが、前年度はいずれも下向きトレンドにある状況であっただけに、17,000円台は十分視野に置けると考える。自動車株など105円/ドルを計画値で織り込んだ輸出企業の戻りを期待したい。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,600円~17,950円 (前回15,650円~16,900円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(5月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(5月13日)

今期予想EPS 1016.80 (前週 937.80円)
来期予想EPS 1115.24 (前週 1075.22円)
再来期予想EPS 1184.46 (前週 1177.07円)
今期予想PER 16.14 (前週 17.18倍)
来期予想PER 14.72 (前週 14.98倍)
再来期予想PER 13.86 (前週 13.68倍)
来期予想PBR 1.06 (前週 1.03倍)
来期予想ROE 7.19% 前週 6.85%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.19% (前週 6.92%)

*5月13 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 


図1決算がほぼ出揃った段階では、現株価水準には割安感がある。

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 39.6%→33.3%→56.5%→35.1%→。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、25.3%→37.3%→59.3%→42.4%→。

一昨年、昨年の水準からみると劣るものの対象決算期の移行により前週比プラス比率が上昇。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

図3対象決算期移行に伴いコンセンサス予想EPSは上昇したが、来期・再来期が弱い

 

図412ヵ月移動平均の予想PERでは割安感はあまりない。

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。