4月8日妥当レンジ 15,800円~17,050円
底値か?まだか?いずれにしても内需銘柄はしっかりだ

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米中の経済統計発表続く。円高は止まるか?>
■今週も円高トレンドが続いている。日銀の緩和策も手詰まり状態にある、伊勢志摩サミットを控えて議長国の日本は介入など積極的な対応策は行えない、また日欧の金融緩和策も基軸通貨国の前では影響力は小さい、米大統領予備選から保護主義的なスタンスが強調される、など旗色が悪い状態である。加えて、2月の国際収支(8日発表)は、事前に予想されていたとは言え経常収支が2兆4,349億円の黒字となり、前年同月比64%の黒字拡大となり円高を補強している。
■3月決算企業の下方修正がここにきて相次いでおり、悪抜けにはまだ時間を要する状況である。ただし、2月決算企業は内需系非製造業が中心であることから業績見通しは比較的しっかりしており、株価も比較的堅調である。
■今週はG20(財務省・中央銀行総裁会議)が14~15日に、17日には産油国会合が予定されており、原油や為替に対して思惑的な動きも予想される。また、中国・米国の経済指標の発表が相次ぐが発表内容によっては、(中国経済と原油価格が安定すれば)米利上げ観測が再び復活する可能性も指摘される。13日:米小売売上高(3月)、中国貿易統計(3月)、米ベージュブック公表、15日:米鉱工業生産(3月)、中国GDP(1-3月)、中国小売売上高(3月)、中国鉱工業生産(3月)と発表が続く(ここで一旦円高にブレーキがかかることを期待)。

 

<コンセンサス予想EPSは全期間で大幅マイナスに>
■4月8日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、再び全期間において前週比大幅なマイナスとなった。ファーストリテイリング(9983)の下方修正が影響しており、マイナス幅の殆どが説明できる。各期間のマイナス幅とファーストリテイリング(以下、FR)の寄与は次の通り。今期[全体▲13.67円・FR▲13.20円]、来期[全体▲2.38・FR▲7.80]、再来期[全体▲6.37・FR▲8.03]。
■前週比で予想EPSがプラスになった銘柄の比率は、来期・再来期ともに40%台前半でまだ低迷しており、円高が懸念される中では強気材料は少ないが、引き続き内需銘柄の押し目を拾ってゆきたい。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

15,800円~17,050円 (前回15,900円~17,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月8日)

今期予想EPS 931.52 (前週 945.19円)
来期予想EPS 1091.28 (前週 1093.66円)
再来期予想EPS 1168.50 (前週 1174.87円)
今期予想PER 16.98 (前週 17.10倍)
来期予想PER 14.50 (前週 14.78倍)
再来期予想PER 13.54 (前週 13.76倍)
来期予想PBR 1.02 (前週 1.03倍)
来期予想ROE 7.01% 前週 6.94%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.06% (前週 6.96%)

*4月8 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1レンジ的には下限を下回っており、反発局面か!?

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 40.2%→44.2%→45.1%→41.4%→43.4%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、38.6%→40.5%→48.8%→40.7%→40.6%。

まだまだ弱い。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

図312ヵ月フォワードEPSを基準とした予想PER14.71倍。再び15倍割れへ。

 

図4マーケットの底値では、東証12部・JASDAQの配当利回りは近接する。
底値か?まだか?

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。