1月8日妥当レンジ 17,150円~18,450円
水準的には底打ちが近いと考えられるが・・・・。
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<人民元安と原油安が今後も市場攪乱要因>
■13日の日経新聞朝刊は、先週末以降に中国通貨当局が香港市場において中国の国有銀行を使って断続的な元買い・ドル売りを実施したと伝えた。先週には6.6元/ドルまで元安が進んだが、足もとは6.57~6.58元/ドルで推移している。人民元安は中国の輸出産業の梃入れにはなるものの、資本逃避が懸念されている。また、人民元の急落に歯止めを掛けるための市場介入は外貨準備高の減少と中国国内には金融引き締めと同じ効果を齎す。今後も米利上げ観測が強まる中では人民元安が攪乱要因となるだろう。
■13日に発表された12月の中国の貿易統計では、輸出が前年同月比+2.3%(11月は▲3.7%)とプラスに転じた。輸入は同▲4.0%(11月は▲5.6%)とマイナス幅が縮小している。国内(日本)の貿易統計(12月・25日発表)への影響を注目したい。
■12日のNY市場で原油価格が30ドル/バーレル台まで下落した。中国をはじめとした新興国の経済原則による需要減と、イランの制裁解除による輸出増が見込まれる中でのサウジアラビアとの対立によって産油国が制御不能になっていることが背景で有る。産油国の財政が厳しくなる中で、政治的基盤の揺らぎから更なる中東情勢の混迷も懸念されている。
<3Q決算を踏まえて来期・再来期も下方トレンドに向かう>
■1月8日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間においてマイナスとなった。円高の影響と国内経済の停滞から、3Q決算発表を踏まえて来期・再来期ベースはまだ下方トレンドにあると考えられる。
■日経平均株価は、妥当レンジ下限近辺まで下落しており、短期的には反発する水準にはあると考えられるが、予想業績の下方トレンドが予見される中では、上昇余地は大きくないと予想する。当面は次回の米FOMC(27日)を視野に、18,000円を目指した自立反発の展開が続くものと考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
17,150円~18,450円 | (前回17,950円~19,350円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月8日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月8日)
今期予想EPS | 1009.87円 | (前週 1014.29円) |
来期予想EPS | 1125.84円 | (前週 1129.01円) |
再来期予想EPS | 1227.01円 | (前週 1232.65円) |
今期予想PER | 17.52倍 | (前週 18.77倍) |
来期予想PER | 15.72倍 | (前週 16.86倍) |
再来期予想PER | 14.42倍 | (前週 15.44倍) |
来期予想PBR | 1.14倍 | (前週 1.23倍) |
来期予想ROE | 7.28% | (前週 7.30%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.77% | (前週 6.62%) |
*1月8 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
来期予想ベースのプラス企業比率は、 47.4%→43.7%→51.2%→51.9%→41.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、57.3%→39.8%→48.8%→49.0%→38.5%。
3Q決算でさらに業績見通しが下方シフトとなる可能性が強まってきた
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
今期予想コンセンサスEPSの低下トレンド続く(既に期初=5月時点を下回る)。
予想PER(12ヵ月フォワード予想ベース)は昨年9月時点を下回ってきており、底値が近いと考えられる。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |