5月15日妥当レンジ 19,150円~20,650円
新年度予想値は、従前予想にほぼキャッチアップした
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<ほぼ事前予想の水準にコンセンサスEPSはキャッチアップ>
■5月15日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、引き続き対象決算期移行から全ての期間で大きくプラスになった。前週比で、今期予想ベースは+35.43円、来期予想は+55.30円、再来期予想は+76.65円と長期ほど高いプラスになった(次ページ参照)。
■3月末の事前予想(決算発表前の「来期」→発表後の「今期」、「再来期」→「来期」)に対する充足率は、5/15時点でそれぞれ98.0%、99.7%と2014年の同時期を上回った。
■自己資本(BPS)の増加によって予想ROE(来期ベース)は前週の7.89%から7.77%に低下したものの、EPS増加と、長期金利の低下から、日経平均の妥当レンジを上方に引き上げる。
■例年、5月一杯はコンセンサス予想EPSの幾分の上乗せが見込めるだけに、妥当レンジも幾分かの上昇シフトが期待できる。3月末時点での新年度の妥当レンジ(19,400円~20,950円)がほぼ実現できる見通しである。現株価水準は特別割安感の強い水準ではないものの割高感はない。まだ上昇余地を残していると言えるだろう。
<ギリシャ問題から欧米の金利は上昇気味>
■ギリシャの救済プログラムの条件をめぐる交渉が難航しており、ユーロ各国の国債が下落(利回り上昇)している。18日のNY市場での米国長期金利(10年国債利回り)が上昇傾向にあることに加えて、為替もドル高ユーロ安に推移している。欧米の株式市場への影響は見られないものの引き続き警戒が必要と考えられる。
■国内の経済指標では、1-3月の機械受注(18日発表)が前四半期に比べて6.3%増となった。ただし、4-6月の予想は7.4%減である。まだ、景況感にはまだら模様が残るだけに株式市場は一進一退を続ける展開となりそうである。
■今後の発表予定は、19日:4月の百貨店売上高、20日:4月のスーパー売上高、4月のコンビニ売上高、25日:貿易収支、など。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
19,150円~20,650円 | (前回 18,850円~20,300円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(5月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(5月15日)
今期予想EPS | 1033.39円 | (前週 997.96円) |
来期予想EPS | 1153.57円 | (前週 1098.27円) |
再来期予想EPS | 1275.24円 | (前週 1198.59円) |
今期予想PER | 19.10倍 | (前週 19.42倍) |
来期予想PER | 17.11倍 | (前週 17.65倍) |
再来期予想PER | 15.47倍 | (前週 16.17倍) |
来期予想PBR | 1.33倍 | (前週 1.39倍) |
来期予想ROE | 7.77% | (前週 7.89%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.80% | (前週 6.80%) |
*5月15日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジは予想EPSの増加から上方にシフト。まだ2週くらいはアナリストの見直し作業からコンセンサス予想は増加が見込めることから、レンジはやや上方へのシフトが期待できる。
いずれも3月最終週と5月中旬との比較。
2015年は最終的にはほぼ従前(3月末時点)の市場予想のEPS水準を確保。
→市場の安心感から緩やかな上昇継続か。
決算発表前の「来期」は発表後の「今期」(同様に発表前の「再来期」は発表後の「来期」)である。発表前に対する発表後の進捗率は、前年をやや下回る水準。
来期予想ベースのプラス企業比率は、49.4%→51.4%→71.8%→61.9%→74.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.1%→44.9%→65.3%→59.5%→64.0%。
引き続き前年の同時期よりも高い水準にありポジティブ。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |