3月27日妥当レンジ 18,350円~19,750円
調整後の戻りも早く、2万円を目指す動きか
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<消費者物価指数、有効求人倍率ともにほぼ順調>
■25日発表の2月の米耐久財受注が前月比マイナスとなったことや、サウジアラビアのイエメン空爆開始(26日)などからNY株式市場の下落と円高によって、先週末の東京市場も調整する展開となった。しかし、先週末のNY高を受けて、昨日(30日)は2月の鉱工業生産指数が前月比3.4%悪化したにもかかわらず、反発した。配当落ち111.34円を考慮すれば23日の年初来高値からの下落率は僅か1.3%に留まる。
■27日に発表された2月の有効求人倍率は前月より0.01ポイント改善、失業率も0.1ポイント改善した。
■2月の全国消費者物価指数は、生鮮食料品を除く総合指数(コア)が前年同月比2.0%上昇と消費税増税分に留まった。原油安の影響によるものであり、家計にとってはプラス効果との見方も強い。今後、マイナスに転じるようであれば追加緩和期待の台頭も考えられることから、他の指標が堅調であれば特に神経質に捉えることもないだろう。
■今週は、1日には日銀短観、3日は米雇用統計の発表が予定されている。
<コンセンサス予想EPSは、来期・再来期がプラス>
■3月27日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期ベースがマイナスとなったが、来期・再来期はプラスであった。全体的には変化が乏しい中で、東京エレクトロン(8035)、ファナック(6954)、キヤノン(7751)、花王(4452)、等が寄与した。今週は前提となる日経平均のBPS(日経新聞からの計算値)の上昇と国債利回り上昇の影響からやや妥当レンジを引き下げる。
■1ヵ月半後の対象決算期が移行を視野に置けば、妥当レンジ下限は19,400円(上限は20,950円)。先週の下落で高所恐怖症を織り込んだとするならば、強気で攻めたいところだ。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
18,350円~19,750円 | (前回 18,700円~20,150円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月27日)
今期予想EPS | 924.90円 | (前週 925.67円) |
来期予想EPS | 1054.38円 | (前週 1052.24円) |
再来期予想EPS | 1157.16円 | (前週 1154.56円) |
今期予想PER | 20.85倍 | (前週 21.13倍) |
来期予想PER | 18.29倍 | (前週 18.59倍) |
再来期予想PER | 16.67倍 | (前週 16.94倍) |
来期予想PBR | 1.41倍 | (前週 1.43倍) |
来期予想ROE | 7.69% | (前週 7.72%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.65% | (前週 6.69%) |
*3月27日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
12ヵ月フォワードの移動平均で見た場合の妥当レンジは、19,260円~20,790円。高所恐怖症は一旦織り込んだか。
来期予想ベースのプラス企業比率は、47.9%→43.2%→63.2%→51.9%→54.4%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、49.4%→46.6%→65.3%→54.5%→49.3%。
先週から今週は有効サンプル(変化)が少なく、ブレ易い面がある。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
明確な根拠はないのだが、経験則から12ヵ月フォワードの移動平均レンジの下限と日経平均株価の連動性は高い。移動平均下限を株価が下回れば“買いシグナル”、上回れば“売りシグナル”。ここ2ヵ月間はほぼ一体的に推移。
利回り差(配当利回り-10年国債利回り)は過去1年の下限を維持している。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |