2月13日妥当レンジ 17,400円~18,700円
3Q決算をほぼ終えて、コンセンサス予想は伸び悩み

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<10-12月期のGDPは年率2.2%増に留まる>
■16日に発表された2014年10-12月期のGDPは年率(実質)2.2%増と市場予想(3.5%増)を大きく下回った。個人消費にまだ消費税率引き上げによる反動減が残ることや、設備投資の回復が緩慢であることなどが影響している。
■株式市場は先週末の米国株の上昇を受けて日経平均、TOPIXともに高値を更新したものの、世界的な金融緩和が進む中で円高圧力が高まりつつ有り、自動車をはじめとした輸出関連の主力銘柄はやや精細を欠いた状態にある。金利上昇による銀行など金融株、自社株買いや増配期待銘柄に上昇期待が集まりそうである。
■3Q決算をほぼ織り込んだ環境下での来期コンセンサス予想EPSの伸びは小幅に留まっており、ここから1~2ヵ月は妥当レンジの上方への大きなシフトは見込みにくい。ただし、4月以降の対象決算期の翌年度への移行を意識するならば(現在の再来期予想ベース)、18,250円~19,700円であり、割安感は十二分に残る。

 

<コンセンサス予想EPSは、今期・来期ベースがマイナス>
■2月13日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比で今期・来期ベースはマイナスとなった。前週比プラスとなった企業数比率は今期ベースでは50%を僅かに下回った。来期・再来期はプラスであるものの、3Q決算を踏まえた予想改訂には頭打ち感が台頭しつつある。
■3月期末が近づいていることから、来期・再来期を視野に入れた動きも期待できるが、来期のEPS成長率が13.1%、(来期から)再来期へのEPS成長率が9.3%とやや限定されている中では(前段では、割安感が十二分に残る、と述べたが)過剰な期待は持たない方が良いだろう。
■2月、3月は消費税前の駆け込み需要から小売業の前年同期比は伸び悩みが予想されるが、駆け込みの反動減が顕著な4月以降は大きな回復が見込めるだけに、この1~2ヵ月に同セクターの仕込み場所があると考える。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,400円~18,700円 (前回 17,150円~18,450円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月13日)

今期予想EPS 926.55 (前週 929.26円)
来期予想EPS 1048.23 (前週 1048.35円)
再来期予想EPS 1145.64 (前週 1141.99円)
今期予想PER 19.33 (前週 18.99倍)
来期予想PER 17.09 (前週 16.83倍)
再来期予想PER 15.64 (前週 15.45倍)
来期予想PBR 1.33 (前週 1.29倍)
来期予想ROE 7.78% 前週 7.67%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.78% (前週 6.81%)

*2月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

図1
当面妥当レンジは現状水準で大きな変化は見込みにくい。ただし、対象決算期の移行を意識するならば(現在の再来期予想ベース)、18,250円~19,700円であり、割安感は十二分に残る。 

図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、59.0%→57.0%→60.2%→55.6%→51.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、57.1%→46.0%→56.3%→52.1%→53.9%。
やや伸び悩み状態が出ている。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意] 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。