2月6日妥当レンジ 17,150円~18,450円
米景気の腰の強さと国内景気の底打ちにこそ注目すべき
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米雇用統計は予想上回る、国内経済指標もポジティブ>
■6日に発表された米雇用統計(1月)は、非農業部門雇用者数が前月比25.7万人増加し、市場予想(23万人)を上回った。加えて、11月、12月の数値が大幅に上昇修正された。 10-12月の米国GDPが減速した要因の多くは輸入増であっただけに個人消費が牽引する腰の強い上向き景気にあることが確認できた。しかし、早期利上げ警戒感の台頭により、米株式市場には重石になっている。
■加えて、ギリシャ問題とウクライナ情勢への緊張から日本株はドル円が円安に振れたにもかかわらず、上値の重い展開になっている。
■国内景気は6日発表の景気動向指数(12月)において先行・一致ともに指数が前月比プラスとなった。景気の基調判断も「下方への局面変化」から「改善」に引き上げられた。9日発表の景気ウオッチャー調査においても、雇用関連の改善から現状判断DIは前月比プラスとなった。
<コンセンサス予想EPSは、今期ベースがマイナスだが>
■2月6日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比で来期・再来期ベースはプラスとなるものの、今期ベースはマイナスとなった。ただし、前週比プラスとなった企業数比率は全期間で50%超であった。今期予想EPSがマイナスとなった要因は、JX HD(5020)、三井物産(8031)、住友商事(8053)など、原油価格下落による評価損を計上した企業や、JT(2914)、ニコン(7731)、シャープ(6753)、武田薬品工業(4502)など業績不振企業の影響が強い。日東電工(6988)、東京エレクトロン(8035)、TDK(6762)、アルプス電気(6770)などエレクトロニクス関連や自動車は好調に推移している。
■妥当レンジは若干下方に調整するが、引き続き輸出企業を中心とした強気のスタンスを継続する。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
17,150円~18,450円 | (前回 17,300円~18,650円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月6日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月6日)
今期予想EPS | 929.26円 | (前週 931.20円) |
来期予想EPS | 1048.35円 | (前週 1046.15円) |
再来期予想EPS | 1141.99円 | (前週 1140.40円) |
今期予想PER | 18.99倍 | (前週 18.98倍) |
来期予想PER | 16.83倍 | (前週 16.89倍) |
再来期予想PER | 15.45倍 | (前週 15.50倍) |
来期予想PBR | 1.29倍 | (前週 1.29倍) |
来期予想ROE | 7.67% | (前週 7.64%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.81% | (前週 6.85%) |
*2月6日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジは今週もやや低下したが、2015年度を視野に置く時期(=対象決算期のシフト)に来ているだけに弱気になる必要はないと考える。
来期予想ベースのプラス企業比率は、60.6%→59.0%→57.0%→60.2%→55.6%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、66.1%→57.1%→46.0%→56.3%→52.1%。
安定した水準を維持(ただし、予想を超えるインパクトがない)。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |