1月30日妥当レンジ 17,300円~18,650円
国内景気は上向きであるが、米経済統計に神経質な展開
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<日本経済新聞の予想1株利益算出方法変更の影響>
■26日より日本経済新聞は、「予想1株利益」の算出方法を「自社株を除く発行済み株式数ベース」に変更した。これに伴い、市場平均のPER、PBR、加重平均の配当利回りなども変更された(時価総額は計算方法に変更なし)。
■当レポートは、市場の純資産規模を日経新聞のPBRを基に算出していたことから、変更に伴う影響を受けている。推定でPERで0.05倍程度、ROEで0.3%前後の影響があり、データの継続性に溝が生じてしまったことは否めない。今回、妥当レンジの引き下げにはこの基準変更が大きな要素となっている。
<NY市場の下落が影響、ただし、国内企業業績は好調>
■30日発表の10-12月の米国GDPは、年率換算で前期比2.6%増となり、7-9月の5.0%増から減速。民間設備投資が1.9%増と低い伸びになったことに加えて輸出が鈍化する中で輸入が増加したことが影響した。ドル高の影響による企業業績への影響が懸念されている。
■他方、国内鉱工業生産(12月、1/30発表)は、電子部品・デバイス、乗用車などが好調で前月比1.0%増、有効求人倍率・失業率も改善している。
■米景気動向に注目が集まっており、ISM製造指数(2/2発表)、ADP雇用統計(2/4)、雇用統計(2/6)など経済指標の発表が市場に影響を与えそうである。
<コンセンサス予想EPSは、4週連続、前週比で全期間プラス>
■1月30日時点の、IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比では全期間で微増となった。ただし、12月決算企業の対象決算期の変更を加味すればやや物足りない水準。しかし、前週比プラスとなった企業数比率は全期間で50%超であった。
■今回、テクニカルな要因で妥当レンジを大きく引き下げる結果となったが、それでも日本株は割安な水準にあることは変わらない。引き続き、強気のスタンスで臨みたい。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
17,300円~18,650円 | (前回 17,850円~19,250円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月30日)
今期予想EPS | 931.20円 | (前週 930.23円) |
来期予想EPS | 1046.15円 | (前週 1044.96円) |
再来期予想EPS | 1140.40円 | (前週 1140.03円) |
今期予想PER | 18.98倍 | (前週 18.83倍) |
来期予想PER | 16.89倍 | (前週 16.76倍) |
再来期予想PER | 15.50倍 | (前週 15.36倍) |
来期予想PBR | 1.29倍 | (前週 1.34倍) |
来期予想ROE | 7.64% | (前週 7.97%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.85% | (前週 7.15%) |
*1月30日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジは2週前の水準にまで低下するものの、依然として割安水準には変わらない。
3Q決算による上昇修正期待も強く、強気のスタンスを継続。
来期予想ベースのプラス企業比率は、57.1%→60.6%→59.0%→57.0%→60.2%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.9%→66.1%→57.1%→46.0%→56.3%。
再来期も50%超に回復、引き続き注視。
(注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になる)
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |