5月23日妥当レンジ 14,000円~16,250円
マーケット水準は依然として修正余地が大きい。

2014/05/27

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<ウクライナ選挙は親欧米派が勝利>
■25日投開票のウクライナ大統領選挙では、親欧米派が担いだ大富豪ペトロ・ポロシェンコ氏が事前予想通り勝利した。ロシアのプーチン大統領も選挙結果を尊重して、新大統領と対話するとの意向を示していることから混乱は次第に収束に向かう可能性が強まっている。
■タイでは、治安の回復と国内の混乱を収束させるためとして、プラユット陸軍総司令官が政府機能を掌握し、軍事クーデターを宣言した。現状では混乱は殆どなく、タイバーツも大きなブレはない。
■22日に発表された5月の中国の製造業業況感指数は、前月の48.1から49.7と大きく改善した。
■海外情勢に関しては、様々な面で好転しているように見られる。NY株式市場も堅調に推移しており、心理的な不安は後退しつつあるように見受けられる。

 

<依然として日本株は割安感が強い>
■日経平均は22日(木)から26日(月)までの3日間は連騰で約4.0%上昇した。依然として妥当レンジ中位を大きく下回っており、まだ回復余地は大きいと考えられる。
■米国長期金利(10年国債利回り)は、やや持ち直しつつあるもののまだ2.536%(23日現在)と低位にあり引き続き注視する必要があるだろう。ただし、為替(ドル円)は102円を挟んだ水準に戻しており、円高が修正された状態にある。円高に対しては一時期ほどに神経質に考える必要性は薄らいでいる可能性も考えられる。
■今週から来週にかけて各種経済指標が発表される予定であるが米国経済の底固さが確認されることによって、マーケットにはまだ追い風が続くように思われる。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,250円~14,000円 (前回 13,750円~15,950円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(5月23日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(5月23日)

今期予想EPS 879.39 (前週 875.28円)
来期予想EPS 976.97 (前週 968.30円)
再来期予想EPS 1070.50 (前週 1054.88円)
今期予想PER 16.45 (前週 16.11倍)
来期予想PER 14.80 (前週 14.56倍)
再来期予想PER 13.51 (前週 13.36倍)
来期予想PBR 1.13 (前週 1.11倍)
来期予想ROE 7.63% 前週 7.63%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.78% (前週 6.82%)

*5月23日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1

前回のレポートにおいて「ここが底」と書いたが、まだまだ底値圏と考える 

 

図2 
アナリストの見通し変更は一巡か。ここから1ヵ月半程度はコンセンサス予想に大きな変化はないだろう。 

 

 

図3
 新興市場よりはまだ大型株の方に優位性が大きい。

 

図4 

NT倍率には加熱感がなく、マーケットの切り替えしに期待。 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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