2月7日妥当レンジ 14,000円~16,250円
上方修正が続くものの、コンセンサスには変化なし

2014/02/13

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米雇用統計は織り込み済み、マーケットは底入れ>
■7日発表の米雇用統計(1月)では非農業部門雇用者数は11.3万人増と市場予想の18.0万人を大きく割り込んだものの、失業率は12月の6.7%から6.6%に回復したこともあり、ネガティブな反応は一時的なものであった。ドル円も102円台半ばに戻ったことからNY株高に連動して、日本株も底入れしたように見受けられる。
■今週の米国経済指標は、13日(木)小売売上高、14日(金)鉱工業生産指数が予定されているが、天候の影響が認識されている現状では、多少下振れしたとしても影響は殆ど無いと思われる。
■日本株に対する懸念は、経常収支赤字に対する国内外の投資家の受け止め方であろう。20日(木)の1月の貿易統計発表に対するマーケットの動きには注目したい。

<通期業績の上方修正は多いものの>
■2月7日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で今期・来期は若干のマイナス、再来期は若干のプラスであった。予想EPSが前週比プラスとなる企業数はマイナス企業数を上回っているものの、圧倒的ではない。その結果、コンセンサス予想の変化が停滞している。会社発表の通期計画値が上方修正されているが、コンセンサスの範囲ということであろうか。
■今回も日経平均の妥当レンジをやや下方に修正する。なお、来期(新年度)を基準とした来年度(2014年5月から2015年4月)の妥当レンジは15,000円から17,500円。2014年中に日経平均2万円と予想する向きもあるが、まず有りえないというのが筆者のスタンスである。
■しかしながら、年初からの調整によって妥当レンジの下限近くに株価水準はあり、現水準に対しては強気のスタンスは可能であろう。引き続き、自動車を中心とした輸出関連銘柄に注目したい。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,000円~16,250円 (前回 14,300円~16,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月7日)

今期予想EPS 764.41 (前週 765.08円)
来期予想EPS 885.06 (前週 885.63円)
再来期予想EPS 985.05 (前週 985.36円)
今期予想PER 18.92 (前週 19.62倍)
来期予想PER 16.34 (前週 16.95倍)
再来期予想PER 14.67 (前週 15.23倍)
来期予想PBR 1.29 (前週 1.33倍)
来期予想ROE 7.91% 前週 7.86%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.76% (前週 6.65%)

*2月7日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 

 

 

 

 

 図1

株価は妥当レンジの下限付近にあり、ダウンサイドリスクは限定される水準にある。 

 

 図2

期待リターンは昨年10月頃と同水準の7.38%に上昇(割高感解消)。 

 

図3

 予想EPS(来期ベース)の前週比プラス企業比率は再び50%台半ばに下降。 

 

 

 図4

来期、再来期のコンセンサス予想EPSは横這いで推移。 

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。