1月31日妥当レンジ 14,300円~16,600円
米経済指標発表に神経質な展開

2014/02/04

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米経済指標の発表に神経質な展開続く>
■29日の米FOMCにおいて100億ドルの量的緩和縮小が発表されたが、結果的に新興国の市場不安を煽ってしまったようである(緩和縮小が無くてもネガティブに反応したのかもしれないが)。
■米長期金利(10年国債利回り)は、先週の2.75%から2.62%へと低下している。3日に発表となった米ISM製造業指数が前月の56.5から51.3(予想は56.0)へと大きく低下したことから、米景気回復への信頼が揺らいでいる。ドル円は4日午前2時現在(日本時間)において101.14円/ドルと円高が急速に進んでいる。
■前回のレポートにおいて、「新興国の問題だけであれば円安・株高への回帰が見込める」と述べたが、予想外であったが米景気回復に対する懸念が台頭しており、暫くは経済指標を神経質に眺める展開になりそうだ。ADP雇用統計(5日)、ISM非製造業指数(5日)、雇用統計(7日)と発表が予定されており、動き難い展開が続く。

<3Q決算は比較的順調にスタート>
■1月31日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で今期はマイナス、来期・再来期は若干のプラスであった。今期ベースがマイナスとなった要因は、アドバンテスト(6857)が大幅な赤字に転落したことが影響している。来期ベースでは前週比でプラスの企業数が増加しており、比較的順調に推移していると見られよう。日経平均の妥当レンジは、前提となるBPSの変化などから前回より下方に修正する。
■先月末から1月は好調であった中小型銘柄が大きく売り込まれている。個人の投げ売りと見られ、目先は売りが売りを呼ぶ展開が懸念される。しかし、高値で買えなかった銘柄を拾うチャンスとも言える。
■1月の貿易統計(日本)の発表予定は20日である。赤字幅によっては円安に振れるタイミングかもしれない。問題(最大の関心事)は、円安で株価が上がるかどうか?今年の相場を占う試金石かもしれない。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,300円~16,600円 (前回 14,550円~16,850円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月31日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月31日)

今期予想EPS 765.08 (前週 773.23円)
来期予想EPS 885.63 (前週 880.26円)
再来期予想EPS 985.36 (前週 983.58円)
今期予想PER 19.62 (前週 19.91倍)
来期予想PER 16.95 (前週 17.49倍)
再来期予想PER 15.23 (前週 15.65倍)
来期予想PBR 1.33 (前週 1.38倍)
来期予想ROE 7.86% 前週 7.88%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.65% (前週 6.60%)

*1月31日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 

 

 

 

 図1

 

株価は妥当レンジの下限に近づいており、ダウンサイドリスクは限定される水準にまで調整しつつあると考える。 

 

 図2

期待リターンは昨年11月前半と同水準の7.27%に上昇(改善)。 

 

図3

予想EPS(来期ベース)の前週比プラス企業比率は60%台に。 

 

 

 

 図4

 JASDAQ平均の相対的な割安感は無くなったように見えるが、市場全体が沈下している。 

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。