10月4日妥当レンジ 13,600円~15,750円
米政治混乱によるドル安が2Q決算発表に影を落とすか

2013/10/08

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<連邦政府機関の閉鎖や債務上限問題からドル安に>
■米国の暫定予算が成立しないことから10月1日から一部の連邦政府機関が閉鎖されている(その結果、雇用統計の発表は延期された)。予算案成立の目処が立たない中で債務上限法案は17日が協議の期限とされ、共和党と民主党との妥結の方向性が見えない中で、米国のデフォルトの可能性を前に市場が動揺している。
■週明けのNY市場では、NYダウは15,000ドルを割り込み、ドル円は97円を割り込んだ。米政局の混迷は結果としてドル安/円高に向うことになる。
■まずは輸出主導で再生を図らなければならない日本経済にとって、円安は全ての再生シナリオの出発点である。昨年末からの株価上昇は、金融緩和による円安と企業業績の回復期待にある。2Q決算発表を前にした円高は、為替前提に対する企業の慎重姿勢が継続することで、通期上方修正への投資家の期待が縮小する懸念がある。その結果、税率の引き上げが決定された消費税に対する不安が台頭することも心配である。

<コンセンスEPSは、前週比全期間マイナスに>
■10月4日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、全期間(今期・来期・再来期)において前週比マイナスとなった。前回は、全体の3割程度の企業に対してしか見通しの変化が無かったが、今回は5~6割の企業に見通しの変化があった。アナリスト予想は決して楽観的ではない。2Q決算時点でマーケットが大きく好転する可能性は後退しつつあるように見受けられる。今回は妥当レンジを下方に調整を行う。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,600円~15,750円 (前回 14,050円~16,250円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月4日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月4日)

今期予想EPS 786.44 (前週790.11円)
来期予想EPS 875.84 (前週879.28円)
再来期予想EPS 972.07 (前週976.66円)
今期予想PER 17.83 (前週 18.68倍)
来期予想PER 16.01 (前週 16.79倍)
再来期予想PER 14.43 (前週 15.11倍)
来期予想PBR 1.27 (前週1.33倍)
来期予想ROE 7.94% 前週7.91%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.78% (前週6.64%)

*10月4日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 目先は(米国がデフォルトするというような最悪のケースを除けば)下振れしても8月安値水準か。               

 


期待リターンは上昇したため、更に大きく下落する可能性は低下した。予想ROEの向上には業績の伸びと同時に配当性向の改善が求められる    

 

  

前週比プラス企業のウエイトは50%前後で推移。2Q決算で株価を押し上げるには60%以上の水準の継続が最低限必要。                

 

  

絶対的な配当額は増加しているように見えるが、予想配当性向は前年同期を下回って推移。

 

    

                

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。