8月23日妥当レンジ 13,300円~15,350円
米FOMCでの量的金融緩和の縮小を織り込む展開

2013/08/27

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<新興国通貨の下落は米国の量的緩和縮小を織り込む動き>
■インド、インドネシアなど経常収支赤字国の通貨が売られるなど、米国の量的緩和縮小による動揺が新興国に広がっている。米国は国内経済動向を中心に据えた政策を遂行する構えであり、9月6日発表の8月の雇用統計等を確認した上で早ければ、9月17~18日開催予定のFOMCで緩和縮小が決定されると予想される。
■中国のHSBC製造業景況指数ならびにユーロ圏景況指数の好転など(いずれも8/22発表)、堅調な経済指標も出てきている。
■トルコの一部利上げや、ブラジルの通貨介入など米国の緩和縮小に対抗した措置も出ており、大きな混乱は回避されるとの見方も強い。
■日本では8/26~31に消費税引き上げの影響を検討する「集中点検会議」が行われており、30日発表の国内経済指標(失業率・有効求人倍率、消費者物価指数、住宅着工、鉱工業生産、など)に注目が集まるものと予想される。
■消費税引き上げによる景気へのマイナス影響が予想されるが、それに対応した追加的政策への期待感から、直ちに株価下落要因になることはないだろう。

<コンセンサス予想EPSは全期間で若干のプラス>
■8月23日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、全期間(今期・来期・再来期)において僅かであるがプラスであった。日経平均の妥当レンジは今回は据え置く。
■当面の株価は、量的金融緩和の縮小が9月のFOMCで予想されるだけに動き辛い展開が続きそうである。バリュエーション的には妥当レンジ下限に近く、下振れリスクは小さいと思われる。量的緩和縮小を視野に米金利は上昇しており、日米金利差拡大から円安に再び向う可能性も期待できる。
■リスク要因としては、福島第一原発の汚染水の海洋流出が止まらない状況に不安と批判が世界的に広がりつつあること。日本の責任問題が問われる事態も頭の片隅に認識しておきたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,300円~15,350円 (前回 13,300円~15,350円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月23日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月23日)

今期予想EPS 792.06 (前週789.49円)
来期予想EPS 882.56 (前週882.27円)
再来期予想EPS 979.65 (前週978.45円)
今期予想PER 17.25 (前週 17.29倍)
来期予想PER 15.48 (前週 15.47倍)
再来期予想PER 13.94 (前週 13.95倍)
来期予想PBR 1.24 (前週1.24倍)
来期予想ROE 8.02% 前週8.02%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.79% (前週6.80%)

*8月23日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

引き続き妥当レンジの下限近辺の動きで下値リスクは低減していると考える。                   

 


予想ROEが横這いで推移する中で、投資家のセンチメントで市場が動いている。

    

 

 

 引き続き中小型株は、まだ大型株に対して優位(割安)と言うほどの水準ではないものの、バリュエーション面では回復傾向。

    

               

  

日経予想(逆算値)とアナリスト予想との乖離は依然として開いたまま。アナリスト予想は慎重スタンスが続く。

              

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。