2月15日妥当レンジ 10,800円~12,500円
企業業績より海外要因等で動き易い時間帯へ

2013/02/19

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<3Q決算が出揃い、1ヵ月~1ヵ月半は予想業績は動き難い>
■2月15日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今期・来期・再来期のいずれものコンセンサス予想EPSがプラスであった(今期予想に関しては、12月決算銘柄の対象決算期変更による影響が強いと考えられる)。
■3Q決算が出揃ったことから、コンセンサス予想は暫くは大きな変化は無いものと考えられる(1ヵ月~1ヵ月半程度)。ただし、現株価水準は、来期ベースの予想EPSを基準とした場合に割高感は無く(ほぼ中位)、底堅く推移するものと考えられる。4月下旬からの本決算を視野に対象決算期の変更(来期→今期、再来期→来期)が進むことによってバリュエーション面でのサポートは一段と強まってゆくと考えられる。3Q決算を境に業績が崩れていた昨年とは異なる展開が期待される(次頁のグラフを参照)。実際、1年前と比較すると予想利益の水準は今期、来期、再来期ともに明らかに上の水準にある。今週も妥当レンジを若干上方に修正する。

<押し目については強気のスタンスを堅持したい>
■G7・G20において日本を名指しにした批判は回避されたことから、円高への揺り戻しは一時的なものに留まった。しかし、「デフレ脱却のための国内問題の解決」という条件が課されたことから外債購入など円安誘導と看做されるような政策は可能性が薄くなっており、さらなる円安進行には限界も感じられる。ただし、1月の貿易収支においても赤字拡大が見込まれていることから円安に反応しやすい雰囲気は続いている。
■企業業績見通しは目先的にはあまり動かない展開が予想されるだけに海外情勢や要人発言、あるいは地政学的問題によって揺さぶられ易い時間帯に入るのかもしれない。しかし、ファンダメンタルからは徐々にバリュエーション面での割安感が出てくると考えられることから押し目については強気のスタンスを堅持したい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

10,800円~12,500円 (前回 10,750円~12,400円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月15日)

今期予想EPS 567.55 (前週566.76円)
来期予想EPS 747.94 (前週740.65円)
再来期予想EPS 837.95 (前週832.35円)
今期予想PER 19.69 (前週 19.68倍)
来期予想PER 14.94 (前週 15.06倍)
再来期予想PER 13.33 (前週 13.40倍)
来期予想PBR 1.17 (前週1.18倍)
来期予想ROE 7.85% 前週7.84%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.76% (前週6.73%)

*2月15日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

1年前とは予想EPSの水準が大きく異なっている(明らかに上にある)。

 

  
 225銘柄中で前週比EPSがプラスになった企業数の比率(変化無しを除く)。
50%以上がプラスよりマイナスが多い状態。

 

1月からの株価上昇は投資家の期待リターンの改善ではなく、予想ROEの改善。

 

 

NT倍率は12月下旬から大きく低下。

  

      出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。