2月1日妥当レンジ 10,500円~12,150円
今期予想は下方修正でも来期以降の見通し改善続く

2013/02/05

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<妥当レンジの上方トレンドが続く>
■3Q決算が本格的に始まったが、13/3期業績見通しに対して上方修正と下方修正が入り混じった展開となっている。2月1日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、今期予想EPSについては前週比ややマイナスとなったが、来期・再来期予想はプラス傾向が続いている。これを受けて予想ROEの改善等から日経平均の妥当レンジを今週も上方に調整する。
■先週末に発表となった米雇用統計(1月)は、失業率は7.9%と0.1ポイント上昇したものの、非農業部門雇用者数は前月比15.7万人増と堅調であった。これを受けて、NYダウは14,000ドルの大台に乗せた。
■今週の欧米市場は軟調なスタートとなったが、円安が加速していることもあり、日本株は底堅い展開が期待される。3Q決算発表によって、今期(13/3期)の予想EPSは減少する可能性もあるが、来期以降の見通しについての改善幅が大きいことから、日本の株式マーケットは堅調に推移するものと考えている。ただし、米国インフレ懸念の台頭、ドル安(ユーロ高)による欧州経済への影響などには注意を払う必要がありそうだ。米国債利回り、ユーロドルなど1ヵ月前とレンジが変わりつつある指標も増えてきている。

<再び大型株主導の展開か?>
■為替が円安に動いていることもあり、再び輸出企業を中心とした大型株に優位な展開が続きそうである。バリュエーション面では、依然として、今期予想ベースではJASDAQは東証1部に対して1.95% (前週は2.32%)のリスクプレミアムが上乗せされた形であり割安感が強い。しかしながら、時価総額倍率がこの1年間の下限レンジに近づきつつある。東証1部の時価総額はJASDAQの時価総額に対して、30倍弱~33倍強の範囲で推移している。1月は新興市場が大きく買われたこともあり、先週末は29.9倍と30倍を割り込んだ。為替次第の面もあるが、足下は輸出企業を中心とした大型株に人気が集まりそうである。  

◇日経平均妥当水準(レンジ)

10,500円~12,150円 (前回 10,300円~11,900円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月1日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月1日)

今期予想EPS 571.52 (前週572.38円)
来期予想EPS 735.98 (前週729.80円)
再来期予想EPS 824.28 (前週816.05円)
今期予想PER 19.58 (前週 19.09倍)
来期予想PER 15.21 (前週 14.97倍)
再来期予想PER 13.58 (前週 13.39倍)
来期予想PBR 1.16 (前週1.13倍)
来期予想ROE 7.64% 前週7.57%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.56% (前週6.58%)

*2月1日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

引き続き、株価は為替との相関性が高い。

 

  

 東証1部とJASDAQの時価総額はおおよそ30~33倍のレンジでこの1年間は推移している

     出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。