10月14日妥当レンジ 27,629円~29,792円
年内の大幅反転の可能性は低い!?

2022/10/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント

<11月8日の米中間選挙に注目・・・トンデモ予想?>
■先週はJPモルガン・チェースのダイモンCEOの「S&P500種がさらに2割の価値を失っても驚きではない」「米景気後退が今から6~9か月後に生じる」という弱気シナリオの提示や、ロシアによるキーウなどへのミサイル攻撃による地政学リスクやバイデン政権の中国への先端技術の輸出規制強化など重苦しい雰囲気から始まった。11日に英イングランド銀行のベイリー総裁が英国債の買い入れオペを予定通り14日に終了すると警告し、ポンドは1.10ドルを割り込んだ。結果的にトラス英首相は14日に法人減税を撤回し、クワーテング財務相を解任することとなった。
■注目された9月の米消費者物価指数(13日)は、前年同月比+8.2%と8月(+8.3%)からは鈍化したものの市場予想(+8.1)までは低下しなかったことから一時的にNYダウは28,660.94ドル(前日比549.91安)まで下落。予想を下回ることが事前に有力視されていたことや、11月(1-2日)のFOMCでの0.75%の利上げがほぼ確実となったことから目先の悪材料出尽くしとなり、売方の買戻しから一転して前日比827.87ドルのプラスとなり3万ドル台を回復した。
■しかし、あくまで売りポジションの巻き戻しであり、底打ちしたとは未だ言えず、引き続き不安定な状況が続くと考えられる。ただし、今後発表される経済指標が株式市場にとってネガティブなものであっても織り込みが進みつつあり、少なくとも11月8日の米中間選挙までは方向感のない展開が続くと考える。中間選挙で民主党が大敗すれば、ウクライナ支援の継続が困難となり、停戦協議が始まるという見方も出てくるかもしれない。
■16日に中国共産党大会が開幕した。一方で、予定されていた中国の経済指標の発表が延期された(18日:7-9月期GDP、9月の小売売上高・鉱工業生産・固定資産投資等、19日:9月の70都市住宅価格動向)。今後発表される信憑性も含めて混沌が広がる可能性も考えれられる。日本株は米国市場次第であるが、企業業績の下方修正と円安が齎すマイナス影響の認識から上値は限定される展開が続くと考える。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

27,629~29,792円 (前回27,595~29,756円)

「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月14日)

今期予想EPS 1847.58 (前週1853.74円)
来期予想EPS 1848.31 (前週1845.06円)
再来期予想EPS 1990.99 (前週1933.51円)
今期予想PER 14.66 (前週14.63倍)
来期予想PER 14.66 (前週14.70倍)
再来期予想PER 13.61 (前週13.60倍)
来期予想PBR 1.09 (前週1.09倍)
来期予想ROE 7.46% 前週 7.44%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.00% (前週 6.98)

10月14日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

 

 

基本シナリオは、米利上げが停止となる来年春頃までは上値は重いと考える(実際には利上げ停止が予想される段階・・・2月頃?が転換点か)。その時点では経済減速の影響を受けにくい、バリュエーション調整に苦しめられていた成長株に勝機があると考えている。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 49.752.6%→47.351.1%→53.9%→56.0%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、50.0%→49.054.2%→49.445.554.0%。
前週までの下方トレンドから一転浮揚。一時的現象か?

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。