2月12日妥当レンジ 24,200円~26,200円
企業業績が急速に株価に追いついてきた !!
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<目先的には達成感からの小反落を予想するが>
■15日の東京市場では、日経平均株価がバブル後の最高値となる30,000円を奪還した。NY市場がバイデン政権への追加経済対策への期待と、イエレン財務長官が提供する安心感から最高値を更新していることも大きいが、それ以上に国内企業業績の回復が押し上げる要因となっている。
<3Qでの上方修正は2Q時点を上回る>
■先週(2/8-13)も業績修正は上方修正(304社)が下方修正(70社)を大きく上回った(2Qのほぼ同時期は上方215社:下方60社)。過去3週間の合計では上方修正726社:下方修正136社であり、2Qの同時期(上方576社:下方151社)を遥かに凌駕する。予想EPSも再来期ベースでは、ピーク水準にあった2018年夏頃に迫ってきた。対象決算期が移行する5月中旬には再来期ベースの予想EPS水準が更新されることが見込まれよう。
■日経平均3万円の大台乗せから、達成感から一旦調整する可能性があるものの、株価に企業業績が急速にキャッチアップしており、緩和相場が崩れない限りは、堅調に推移するものと予想される。足もと米長期金利が1.2%台へと上昇しているが、仮にコロナ前の水準(1.6~1.9%)まで上昇しても、企業業績見通しから27,000円を割り込む可能性は低いと考える(インプライド・リスク・プレミアムを6.5~7.0%と置いた場合の再来期ベースの日経平均の妥当レンジは25,550~27,600円)。
■15日に発表された10-12月期の国内GDPは年率+12.7%であった。しかし、緊急事態宣言の再発動によって1-3月期のGDP見通し(民間予想)は年率▲7.4%が見込まれている。飲食・旅行/宿泊・鉄道/航空などの業種では引き続き厳しい状況が見込まれるものの、グローバルでのコロナに対する新規感染者数の鈍化を受け、海外経済の回復から製造業への回復期待が高まると考えられる。
■今週の経済指標発表では、17日:国内貿易統計(1月)、米小売売上高(1月)、米FOMC議事録(1/26-27分)、18日:米新規失業保険申請件数(2/13終了週)、19日:ユーロ圏PMI製造業景気指数・サービス業景気指数(2月)が注目される。ここからは強すぎる景気指標がむしろ金利上昇懸念から株価押し下げになる可能性に留意したい。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
24,200円~26,200円 | (前回22,800円~24,700円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月12日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月12日)
今期予想EPS | 1075.75円 | (前週1112.51円) |
来期予想EPS | 1415.56円 | (前週1349.36円) |
再来期予想EPS | 1613.73円 | (前週1538.36円) |
今期予想PER | 27.44倍 | (前週25.87倍) |
来期予想PER | 20.85倍 | (前週21.33倍) |
再来期予想PER | 18.29倍 | (前週18.71倍) |
来期予想PBR | 1.27倍 | (前週1.23倍) |
来期予想ROE | 6.07% | (前週 5.79%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
5.45% | (前週 5.27%) |
2月12日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
12ヵ月フォワード予想PERでは昨年6月にPER20倍に跳ね上がり、その後PER20~23倍で推移している。予想EPSが上昇していることを鑑みれば、昨年の夏頃との比較では割高ということはない。
リスクプレミアム6.0%(再来期予想ベース)から算出される株価との乖離は急激に縮まっている。決算期移行(期変わり)を前提にすれば日経平均30,000円には割高感はない。
参考値(ERP=エクイティ・リスク・プレミアム 6.0%)の日経平均株価(2/12現在)は 28,400円(前週比+1600円)。 再来期予想ベースでERP 6.0%(現在価値への割戻しなし)の場合の理論値は30,000円(前週比+1750円)。結果論であるが、企業業績(見通しが)株価に追いついてきた。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 69.5%→50.7%→62.4%→64.3%→61.9%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、67.4%→54.2%→54.6%→64.3%→59.2%。
来期ベースは19週連続で50%超。上方トレンドはもう少し続きそうだ。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |