1月22日妥当レンジ 22,300円~24,100円
中期的には緊張高まるが、目先は楽観相場継続か

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<ナスダック総合指数は4日連続過去最高更新>
■20日には特に混乱は無く、バイデン新大統領が就任した。同日にNYダウならびにナスダック総合が過去最高値を更新した。ナスダックは昨日(25日)までの4営業日連続で最高値を更新している。19日発表の米ネットフリックスの決算において契約者数が大幅に伸びたことが好感されており、IT大手の業績拡大への期待が市場を牽引している。27日にフェイスブックとアップルが、2月2日にアルファベットとアマゾン・ドットコムの決算発表が予定されている。
■20-21日に日銀金融政策決定会合が、21日にECB理事会が開催されたが、事前の予想通りに金融政策の変化は無く、市場に影響は無かった。26-27日には米FOMC(連邦公開市場委員会)が予定されている。一部には金融緩和が打ち出されるとの見方もあるようであるが、その可能性は低いと思われる。しかし、バイデン大統領が1.9兆ドルの追加経済対策の方針を打ち出しており、長期金利が強含みにあるだけにパウエル議長の記者会見は注目を集めるものと思われる。
■新型コロナウイルスに関しては、変異種は強毒化しているとの見方や、一部の変異種に対してワクチンの有効性が低いなどの見方もある。しかし、足もとの感染者数は減少傾向にあり、市場への影響は限定的と思われる。
■日本株は半導体・電子部品、情報サービスなどの企業の上方修正が見込まれ、当面は強含みに推移すると思われる。

<米中の緊張持続・日本にも影響か>
■中国が独禁法や特許法などの改正を進め、規制強化を図っている。これは米国に対抗する措置と考えられるが進出企業のリスクが高まることが考えられる。また、戦略物質や特定の技術に対する輸出規制も強めている。中国政府は22日に行政機関であった海警局を準軍事組織とする海警法に署名した。南シナ海や尖閣周辺での緊張が高まるものと考えられる。
■足もとは企業業績の好調を受けて株価が押し上げられる可能性が高いものの、現状の株高は金融緩和や財政支出の上で成立している合理的バブルであるという認識と地政学的リスクの高まりを意識しておきたい。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

22,300円~24,100 (前回22,200円~24,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月22日)

今期予想EPS 1093.13 (前週1090.94円)
来期予想EPS 1313.84 (前週1315.37円)
再来期予想EPS 1508.78 (前週1504.42円)
今期予想PER 26.19 (前週26.14倍)
来期予想PER 21.79 (前週21.68倍)
再来期予想PER 18.98 (前週18.96倍)
来期予想PBR 1.22 (前週1.22倍)
来期予想ROE 5.58% 前週 5.61%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
5.13% (前週 5.16%)

1月22日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

参考値(ERP=エクイティ・リスク・プレミアム 6.0%)の日経平均株価(1/22現在)は 26,200円(前週比±0円)。 再来期予想ベースでERP 6.0%(現在価値への割戻しなし)の場合の理論値は27,550円(前週比±0円) 。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 56.6%→58.1%→61.869.5%→50.7
再来期予想ベースのプラス企業比率は、64.444.871.867.4%→54.2
今週はやや一服感あるが来期ベースは16週連続で50%超。3Qでの業績上昇修正継続中

[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。