9月25日妥当レンジ 19,600円~21,200円
米大統領選はいよいよ佳境に、ボラタイルな展開か?
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<いよいよ大統領候補 第1回討論会:トランプ氏挽回なるか>
■21日の下落後、欧米株式市場には回復が見られない。23日発表の9月のユーロ圏購買担当者景気指数(英IHSマークイット)は、50.1と前月比1.8ポイント悪化した。新型コロナウイルスの感染拡大によって、雇用悪化が懸念されている。米国も19日までの週の新規失業保険申請数(24日発表)は、87万件と前週の改定値から4000件悪化した。大統領選挙を控えて共和党と民主党の駆け引きの中、追加経済対策の成立の目処が立たないことが懸念されている。18日にギンズバーグ最高裁判事が亡くなり、その後任を大統領選挙前に決定しようとするトランプ氏との溝が深まったことも市場心理を悪化させた。トランプ氏は保守派のバレット氏を24日に指名した(28日はペロシ下院議長が「合意できる」と述べたと伝えられ反発した)。
■今週は、主要経済指標の発表が集中するが、何よりも29日の大統領候補の公開討論会(第1回)が注目される。劣勢のトランプ氏はここでの挽回を期したいところであるが、ここに来てトランプ氏に不利な材料が重なっている。首都ワシントンの連邦地裁は27日、「TikTok」に対する配信禁止処置を土壇場で一時差し止める判断を示した。20日のカリフォルニア州北部地区の連邦地裁「WeChat」に対する大統領令の一時差し止めに続く、政権の敗退である。また、NYタイムズは27日にトランプ大統領が当選前の15年間の内10年分の所得税を連邦政府に納めていなかったと報じた。さらに2016年と17年の納税額もそれぞれ750ドル(約8万円)だった、と。
■経済指標の発表は、29日:米コンファレンスボード消費者信頼感指数、30日:中国製造業景気指数(国家統計局・財新マークイット)、米ADP雇用統計、10月1日:米ISM製造業景気指数、2日:米雇用統計(すべて9月分)。米雇用統計においては失業率の回復ペースに注目が集まりそうです。
< 「コンセンサスDI」は再来期ベースが17週ぶりに50%台に>
■「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)が再来期ベースでは、17週ぶりに50%台を回復。前週はサンプル数が少なかったため、まだ回復トレンドを確実視は出来ないが好材料である。25日時点の日経平均の参考値(リスクプレミアム6.0%で算出)は前週比-200円の23,100円であった。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
19,600円~21,200円 | (前回19,800円~21,400円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月25日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月25日)
今期予想EPS | 974.73円 | (前週965.68円) |
来期予想EPS | 1243.43円 | (前週1250.03円) |
再来期予想EPS | 1432.48円 | (前週1440.19円) |
今期予想PER | 23.81倍 | (前週24.19倍) |
来期予想PER | 18.66倍 | (前週18.69倍) |
再来期予想PER | 16.20倍 | (前週16.22倍) |
来期予想PBR | 1.06倍 | (前週1.07倍) |
来期予想ROE | 5.70% | (前週 5.75%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
5.54% | (前週 5.56%) |
9月25日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
参考値(RP=リスクプレミアム 6.0%)の日経平均株価は 23,100円(前週比-200円)。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 44.0%→47.7%→48.8%→42.7%→45.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、44.7%→47.8%→49.4%→47.2%→55.2%。
来期ベースは19週連続で50%割れであるが、再来期ベースは17週ぶりに50%台回復。サンプルデータが少ないだけに一過性の可能性はあるものの、業績底打ち感は強まっている。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |