4月24日妥当レンジ 17,600円~19,000円
Active Cases(治療中患者数)の推移に注目。
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<欧州ではでActive Cases(治療中患者)が前日比減少>
■新型コロナウイルスに関する感染者数・死者数の増加に歯止めがかかって来た。特に、イタリア、スペイン、ドイツ、スイスなど欧州の主要国では、治療中の患者数( Active Cases =感染者数-死者数-回復者数)も減少傾向を辿っており、峠は完全に越えたと言えよう(ジョンズ・ホプキンス大データ)。これらの国々に加え、ニュージーランドや米国の複数の洲でロックダウンの緩和が予定されている。
■国内でも週明けという要因はあるものの、東京都内の新規患者数は39人と約1カ月ぶりに50人を割り、まだ予断は許さない状況ながら光明が見えてきた。
■まだ、ブラジル、メキシコなど中南米やインドなど新興国では感染拡大が続いているものの、市場には回復期待が広がりつつあり、各国の経済支援策の発動や中央銀行による資金供給の拡大などを受けて、株式市場は上値が重いながらも底堅い展開が続いている。
■昨日、日銀が国債購入限度(80兆円)を撤廃すると同時に社債などの買い入れ枠を20兆円に増やすことを発表。28-29日に米FOMC、30日にECB理事会が予定されているが、いずれも資金供給を積極的に続けることが確認されるものと考えられる。
■他方で、実体経済の悪化が進行している。本日発表された3月の国内有効求人倍率は1.39倍(前月比0.06ポイント)と3年半ぶりの水準に低下した。今後は企業倒産が拡大する中で、更なる悪化が懸念される。米国では過去5週間の新規失業保険申請件数が2,600万件超となっており、5月8日発表の米雇用統計が注目を大きく集めることが予想される。なお、24日に米議会予算局が発表した経済見通しの中で4-6月期のGDPは▲39.6%と予想されている。
■今週は、米1-3月期GDP速報(29日)、米ISM製造業景気指数(5/1)が予定されている。国内企業の3月期決算の発表が本格化しつつあるが、発表延期や業績予想の非開示が相次いでいる。市場の楽観からそれが株価の下げには繋がっていないが、延期や業績予想の非開示は厳しい実態を反映した内容と推察する。今週は、連休(5月2-6日)を控えて、ポジション調整が強まる展開を予想する。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
17,600円~19,000円 | (前回17,800円~19,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月24日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月24日)
今期予想EPS | 1050.63円 | (前週1093.85円) |
来期予想EPS | 1335.69円 | (前週1376.88円) |
再来期予想EPS | 1413.27円 | (前週1419.55円) |
今期予想PER | 18.33倍 | (前週18.19倍) |
来期予想PER | 14.42倍 | (前週14.45倍) |
再来期予想PER | 13.63倍 | (前週14.02倍) |
来期予想PBR | 0.91倍 | (前週0.92倍) |
来期予想ROE | 6.28% | (前週 6.39%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.59% | (前週 6.60%) |
4月24日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
4月24日時点の再来期コンセンサス予想PER 13.62倍。割安とはいえない水準であるが、Active Cases(治療中患者数)のピークアウトが見えてきたことから、新型コロナウイルス感染症の終息への期待が強まってくる。足もとの経済環境悪化を織り込みつつ、過剰流動性も加わり、底割れ懸念が後退する可能性も。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 18.7%→18.2%→14.4%→26.4%→30.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、15.4%→26.1%→11.9%→24.1%→25.0%。
全期間50%割れは12週連続!! ただし、来期ベースは30%台回復!
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |