3月27日妥当レンジ 18,200円~19,700円
東京“ロックダウン”に備えろ!!
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
投資のポイント
<米2兆ドルの経済対策も、果たしてそれで十分か?>
■トランプ大統領は、27日に議会が可決した2兆ドル(約220兆円)の経済対策法案に署名した。2兆ドルは米GDP(名目21兆ドル)の約1割に相当し、過去最大規模である。家計には4月をめどに大人で最大1,200ドルを現金給付するほか、失業保険も拡充する。FRBが市場に4兆ドルの資金供給を行い流動性の確保に努める。一方で、セントルイス連銀のブラード総裁は4-6月期のGDP成長率はマイナス50%となり、2兆5,000億ドルの所得が失われると述べている。引き続き追加策が検討されると考えられるが、米国内は勿論のこと、世界経済への影響は想定を遥かに超えて大きくなる可能性もあるだろう。
■31日11時現在において新型コロナウイルスの世界全体の感染者数は78万4千人、死者は3万7千人に達した(ジョンズ・ホプキンズ大)。欧米はもとよりアジア全域にも入国禁止や都市閉鎖などで感染拡大に歯止めをかけようとしているが、まだ拡大ペースには衰えがない。
■東京都の小池知事は、23日に東京をロックダウン(都市封鎖)する可能性について言及した。現状(3月30日現在)で感染者443人、重症・死亡23人となっているが、感染経路が不明な患者が増えており、発動される可能性が強まっている。東京が仮にロックダウンされた場合には、小売・サービスなどの非製造業だけでなく、企業の本社機能が集中していることから(継続業務はリモートワークで対応するとしても)新規の商談や交渉に影響を与えるだけに、製造業や建設・不動産業にも影響が広がるものと考えられる。
■先週1週間で日経平均株価は2,836円の大幅な反発となったが、中央銀行の無制限な資金供給による米ドル(キャッシュ)への流れが収まったこと、売り方の買戻しによる要因が強いと考える。新型コロナに起因した危機的な経済実態を織り込みつつ、4月から5月に2番底を模索する展開と考える。
■しかし、今回はリーマンショックのような金融危機と異なり、資金供給が経済活動に結びつかないため、その結果として金融市場の過剰流動性から一時的に株式市場が大きく上振れる局面もあるだろう。いずれにしても新型コロナの終息の方向性が出てくるまでは積極的には動きづらい。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
18,200円~19,700円 | (前回16,800円~18,200円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月27日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月27日)
今期予想EPS | 1184.32円 | (前週1199.72円) |
来期予想EPS | 1305.62円 | (前週1330.41円) |
再来期予想EPS | 1451.01円 | (前週1466.38円) |
今期予想PER | 16.37倍 | (前週13.80倍) |
来期予想PER | 14.85倍 | (前週12.44倍) |
再来期予想PER | 13.36倍 | (前週11.29倍) |
来期予想PBR | 0.93倍 | (前週0.81倍) |
来期予想ROE | 6.25% | (前週 6.51%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.44% | (前週 7.05%) |
3月27日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
株価のリバウンドを受けて、妥当レンジも上方にシフトしたが、あくまでも現在のコンセンサス予想をベースにしたもの。下表の通り、コンセンサスはここからさらに大きく切り下がることを考えれば、現水準には割安感はないと考える。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 41.8%→31.3%→28.1%→11.8%→18.7%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、47.3%→38.3%→34.6%→21.1%→15.4%。
全期間50%割れは8週連続!! 再来期ベースも10%台に低下!!
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |