2月21日妥当レンジ 20,800円~22,600円
経済指標悪化を織り込む時間

2020/02/26

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<新型コロナウイルスの感染拡大がトリガー>
■24日の欧米市場は大幅な下落となった。韓国、日本、イタリア、イラン等での新型コロナウイルスの感染拡大によるリスクオフが広がったことによる。サプライチェーンの機能不全の長期化の可能性と今後予想される経済指標の悪化を織り込む展開となった。尤も、世界的な金融緩和の継続によって行き場を失った資金が株式市場を押し上げていた側面が強かっただけに、或る意味で当然の帰結(正常化?)と言えなくもない。
■新型コロナウイルスに関しては(特に日本国内において)引き続き高い警戒が必要である。また、感染拡大への防止によって消費をはじめとした経済活動への影響を注視する必要もあるだろう。
■一方で、中国に関しては、都市封鎖・移動制限等の実施によって、武漢(湖北省)を除けば死者数は比較的限定されている。河南省(19人)、黒龍江省(12人)を除けば主要都市(省)の死者は1桁に留まっている。北京市(人口2,100万人)は4人である。徐々に生産が再開されつつあり、トヨタは中国4工場が全て24日に再稼働したと報道されている。
■経済指標の悪化や来期の企業業績見通しの下方トレンドによって、日本株はまだ弱含む可能性がある。そうした状況でも日経平均株価の安値のメドはPBR1.0倍である20,700円と考えている。
■まだ新型コロナウイルスの動静を注意深く見守る必要はあるものの、次の展開に備えておきたい。感染拡大防止の影響が長引きそうな内需(消費)関連よりも半導体や電子部品など輸出企業の反発に妙味がありそうだ。

<「コンセンサスDI」は全期間で3週連続50%割れ>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、来期・再来期において予想EPSが前週比プラスとなったが、ソフトバンクG(9984)の影響による(それを除けばマイナス)。「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業の比率)は3週連続で全期間で50%割れであり、まだマイナストレンドは続きそうである。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,800円~22,600 (前回20,900円~22,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月21日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月21日)

今期予想EPS 1257.14 (前週1275.79円)
来期予想EPS 1387.93 (前週1376.41円)
再来期予想EPS 1511.04 (前週1504.95円)
今期予想PER 18.60 (前週18.57倍)
来期予想PER 16.85 (前週17.21倍)
再来期予想PER 15.48 (前週15.74倍)
来期予想PBR 1.09 (前週1.10倍)
来期予想ROE 6.47% 前週 6.38%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.32% (前週 6.19%)

2月21日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

  


25日の下落(22,605.41円)によって妥当レンジ内に入りつつある。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 42.245.344.345.734.4
再来期予想ベースのプラス企業比率は、46.251.8%→44.043.339.7
3週連続で全期間50%割れ!!このトレンドはまだ続きそうである。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

このページのトップへ