2月7日妥当レンジ 21,000円~22,700円
企業業績悪化と国内景気減速の強まりは、まだ本番前

2020/02/12

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

投資のポイント 

<米景気への影響は緩和期待を高めるが>
■引き続き、新型肺炎の動向が注視されているが、中国政府の封じ込め策の効果もあり中国における感染者数の増加ペースは下がりつつある。しかし、クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス)での感染拡大がウイルスの感染力の高さを端的に示したように、収束にはまだまだ予断を許さない状況が続くものと考えられる。
■米国経済は、ISM製造業(3日発表)および非製造業(5日)PMI、米雇用統計(7日)など強い内容であった。米国株もS&P500が過去最高値を更新するなど、引き続きリスクオンの状態が続いている。しかし、日本株は国内経済の減速感の強まりと企業業績の悪化拡大から米国株との連動性は低下してゆくと考える。
■7日に発表された景気動向指数(12月)ではCI一致が前月比横這いであったが、消費増税の反動から10月(▲5.1pt)、11月(▲0.6pt)と沈んだ後の持ち直しの兆しが見えない。家計調査でも2人以上世帯の実質消費支出は、10月(前年比▲5.1%)、11月(▲2.0%)、12月(▲4.8%)と低下傾向が続いている。
■企業業績も不振である。11日の日本経済新聞によれば、10日時点の20年3月期の純利益は前期比▲8.4%と11月時点から1.6ポイント減益幅が拡大している。製造業に限らず、非製造業も減益に転じる見通しである。さらに新型肺炎の影響が追い討ちをかけることも予想される。

<「コンセンサスDI」は全期間で再び50%を下回る>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、来期・再来期が前週比マイナスであった。今期は若干のプラスであったが、12月決算企業の対象決算期移行の影響があり、それを考慮すると実質マイナス。「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業の比率)は全期間で50%を再び割り込んだ。
■新型肺炎の影響が顕在化するのはこれからであり、まだ業績悪化を織り込んだとは言えないだろう。仮に米国株が崩れれば、それを上回る影響が出る可能性には留意したい。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

21,000円~22,700 (前回20,900円~22,600円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月7日)

今期予想EPS 1252.72 (前週1252.35円)
来期予想EPS 1374.83 (前週1379.89円)
再来期予想EPS 1496.05 (前週1506.37円)
今期予想PER 19.02 (前週18.53倍)
来期予想PER 17.33 (前週16.82倍)
再来期予想PER 15.93 (前週15.40倍)
来期予想PBR 1.12 (前週1.10倍)
来期予想ROE 6.45% 前週 6.53%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.23% (前週 6.37%)

2月7日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  

  


日経平均株価の反発によって再び妥当レンジ(上限)との乖離が広がった。

来期予想ベースのプラス企業比率は、 57.7%→45.342.245.344.3
再来期予想ベースのプラス企業比率は、54.7%→42.746.251.8%→44.0
再び全期間で50%割れに!!(今期予想ベースは42.0%)

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。