4月19日妥当レンジ 20,600円~22,300円
今週の決算発表の内容次第で、GW前の見切売り拡大も

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 
投資のポイント

<中国経済は持ち直したのか?>
■17日に中国国家統計局が発表した19年1-3月のGDPは実質で前年同期比+6.4%と(18年10-12月に対して)横這いであった。固定資産投資(1-3月)は景気対策等から+6.3%と持ち直しつつあり、鉱工業生産(1-3月)も+6.5%と18年通年(+6.2%)から加速したが、鉄鋼やセメント、化学製品などの好調によるもの。小売売上高(1-3月)は、+8.3%と18年通年(+9%)からは鈍化した。
■マーケットでは景気対策の効果が表れたとして、中国経済の持ち直しと看做されたものの、3月の日本から中国への輸出(貿易統計:17日)は金属加工機械や電子部品等の減少から▲9.4%とマイナス幅が大きく、米中貿易問題の影響が依然として強く影を落としていることがうかがえる。
■直近では原油価格の動向に注意が必要である。イラン産原油の輸入を日本、中国、インドなど8ヵ国に認めた特例処置が5月2日に期限を迎える。原油価格の上昇が加速すれば新興国などへのマイナス影響は避けられない。
■今週は、24-25日の日銀金融政策決定会合と展望レポート以外では目だった経済指標の発表等のイベントはなく、むしろ企業の決算発表に注目が集まると考えられる。10連休を控えてポジション整理の動きが強まるか否かは、今週決算発表を行う注目企業の新年度業績予想が大きく影響すると考える(発表予定は3頁目をご参照)。

< 「コンセンサスDI」は全期間で50割れ>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、来期・再来期で前週比プラスであったが、特定3銘柄(ソフトバンクG、武田薬品工業、ファーストリテイリング)の影響による。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は2週連続で全期間50を下回った。
■来期・再来期のコンセンサス予想EPSが現状水準が維持されるのであれば、日経平均株価の妥当レンジは22,000~23,800円となる。会社見通しが慎重であればコンセンサス予想も下方にシフトすると考えられるだけに、注意深く見守りたい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,600円~22,300 (前回20,600円~22,200円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月19日)

今期予想EPS 1380.19 (前週 1383.29円)
来期予想EPS 1468.18 (前週 1464.84円)
再来期予想EPS 1510.08 (前週 1508.78円)
今期予想PER 16.09 (前週 15.81倍)
来期予想PER 15.12 (前週 14.93倍)
再来期予想PER 14.70 (前週 14.50倍)
来期予想PBR 1.08 (前週 1.08倍)
来期予想ROE 7.14% 前週 7.23%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.99% (前週 7.09%)

4月19日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

  





図1
対象決算期移行による妥当レンジの上方シフトは生じるか?


 


図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 
49.344.942.345.145.5
再来期予想ベースのプラス企業比率は、55.7%→55.1%→40.849.540.2
ここからは対象決算期の移行で一時的に跳ね上がるので60%台が出ないとダメ。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

図9tiw-3

 

図4

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。