3月29日妥当レンジ 20,100円~21,800円
GW明けはご祝儀ムードから上抜けする可能性も!?

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 
投資のポイント

<新天皇即位からお祝いムードも広がる可能性>
■先週は、ECBのドラギ総裁が講演で利上げの再延期やマイナス金利の副作用軽減の検討を示唆したこと(3/27)、トルコが通貨リラ売りの阻止策を国内銀行に命じたこと(3/27)などがマーケット押し下げ要因になったものの、米国家経済会議のクドロー委員長が貿易協議で合意できた場合に制裁関税の一部を解除する可能性を示唆したこと(3/28)、ムニューシン財務長官が「建設的な協議を終えた」(3/29)とツイッターしたことなどから株価は切り返した。
■週明けの経済指標は、日銀短観(4/1)は大きく悪化したものの、二つの中国製造業PMI(国家統計局3/31・財新4/1)がいずれも市場予想を上回り50台を回復、米ISM製造業PMI(4/1)も市場予想を上回ってプラスだった。加えて、新元号「令和」の発表が心理的にポジティブに働いたようだ。
■英国のEU離脱問題は、3度目の議会採決(3/29)も否決され、代替案の審議も不調であり、いよいよ離脱期限である4月12日が迫る。それにもかかわらず、市場に緊迫感が薄いのは離脱の長期延期を既に織り込んでいる可能性もあるのだろう。
■英国のEU離脱の長期延期が決定し、米中貿易問題も着地点が見えてくるとなると、足もとの経済指標ならびに企業業績の悪化が想定以上でなければ、ひとまず株価は反転する可能性も考えられる。もちろん、米国の減税効果の息切れや債務上限問題、日本の消費税引き上げなど年後半に大きな懸念材料を抱えているため、持続性のある上昇にはならないと考える。日本は新天皇の即位(5/1)によるお祭りムードから短期的には消費が盛り上がる可能性もあり、マーケットもご祝儀相場が生じる可能性もあるだろう。

<「コンセンサスDI」は再来期ベースが2週連続50超>
■「IFIS/TIWコンセンサス225」(アナリストコンセンサス予想EPSを225型に集計)は、全期間で前週比プラスとなったが、出光興産(5019)の銘柄入替の影響によるもので実体的にはほぼ横這い。「コンセンサスDI」(前週比プラス企業とマイナス企業の比率)は再来期が2週連続で50を上回っており、業績悪化を織り込む展開は一旦は終わった可能性がある。

 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,100円~21,800 (前回20,600円~22,400円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(3月29日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(3月29日)

今期予想EPS 1381.76 (前週 1377.61円)
来期予想EPS 1467.16 (前週 1462.52円)
再来期予想EPS 1510.86 (前週 1506.80円)
今期予想PER 15.35 (前週 15.70倍)
来期予想PER 14.45 (前週 14.79倍)
再来期予想PER 14.04 (前週 14.35倍)
来期予想PBR 1.07 (前週 1.09倍)
来期予想ROE 7.39% 前週 7.36%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.14% (前週 7.23%)

3月29日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

  




図1
妥当レンジ上限に近づきつつあるが、新年度(本決算後)入りすれば妥当レンジは
1500円程度上方にシフト。

 






図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 
38.232.036.449.344.9
再来期予想ベースのプラス企業比率は、41.237.245.555.7%→55.1%。
2週連続で再来期ベースが50%超。

 [注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]




出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

 

 

 

 

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。