準備金構想に踊るビットコイン

2025/03/10

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◆昨秋以降、9万ドル超の高水準で推移

仮想通貨への注目が高まっています。代表的存在であるビットコインは、昨年11月中旬ごろから一段高となり、概ね9万ドルを上回る高水準での推移が続いています。背景には、トランプ米政権のもとで、ビットコインが米国政府の準備金に組み入れられるとの期待があります。トランプ氏は選挙期間中から「米国をビットコイン超大国にする」と繰り返し、就任後すぐに仮想通貨を推進する大統領令に署名しました。政府が準備金に組み入れれば、資産としてのお墨付きを得られたことになり、需要が増すと期待されているわけです。

◆米マネタリーベースと軌を一にしてきたビットコイン

民間レベルでみると、既に一般的な投資対象になりつつあるようです。米国ではビットコインなどの暗号資産を組み込んだETF(上場投資信託)を解禁する動きが出てきています。今後、ビットコインを運用対象とみていく際に、何がポイントになるでしょうか。

下図は、ビットコイン価格と米マネタリーベース(米国当局が発行するマネーの量)の推移です。ドルの供給量が増える(減る)とドルの減価(増価)が連想されるため、ビットコイン価格が上昇(低下)する傾向があるようです。底流には、既存の法定通貨の先行きへの不安があるためと思われます。米国をはじめとした各国の中央銀行は、新型コロナ禍(2020年頃)に大量に供給したマネーを、コロナ前の水準まで戻す必要はないとの方針を示しています。こうした流れはビットコインにとって追い風と言えるでしょう。

◆ビットコインを推進する理由は?

もっとも、今のところ米国政府の準備金構想は難路に見えます。州レベルではビットコインを準備金として保有する法案が提出されていますが、今年2月に複数の州で相次ぎ否決されました。ビットコインには資産などの裏付けがないうえ、日々の値動きが不安定で投機性も高く、長期投資や公的機関の保有には適さないとの判断があったようです。そもそもトランプ氏自身も、2021年に「ビットコインはドルへの詐欺」と述べるなど、かつては推進派ではありませんでした。準備金構想の背景には、①仮想通貨への規制を強めたバイデン政権との違いを示すパフォーマンス、②業界からの巨額献金、があるとの見方が多いようです。

トランプ氏が「なぜ、いまビットコインなのか?」を説得的に語れるかが、今後の仮想通貨の成長や準備金構想の実現に向けた1つのポイントでしょう。

(シニアストラテジスト稲留克俊)

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