過去最高値更新も先行き厳しいドイツ経済
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◆政治も混乱、2月23日総選挙へ
今年に入りドイツDAX指数は上昇を続けています。2月18日には22,844ポイントで取引を終え、過去最高値を更新しました。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクが後退するとの観測や、輸出企業の好決算などが好感されています。
一方、ドイツ国内の経済は厳しい状況が続いています。2024年の実質GDP(国内総生産)成長率は前年比▲0.2%で、2023年(同▲0.3%)に続いて2年連続のマイナス成長となりました。もともとドイツは、ロシアから仕入れた安価なエネルギー(天然ガス)を使って国内の工場で製造し、出来上がった製品を中国に輸出することで産業が成り立っていました。これが、2022年のロシアのウクライナ侵攻を機に天然ガスの供給が止まり、エネルギー供給が成り立たなくなりました。また、中国では不動産不況に端を発する景気悪化で消費が低迷していることに加え、中国企業による安価な電気自動車の普及で、比較的高価な外国製の自動車が売れなくなりました。結果的に、外国企業にとって中国市場は縮小市場となり、ドイツ経済は「入りと出」の両方に大きなダメージを受けたことになります。
そんな中、更に深刻さを増しているのは、ドイツ国内における政治の停滞です。ショルツ政権は、2021年12月に社会民主党(SPD、中道左派)、緑の党(環境重視)、自由民主党(FDP、経済リベラル)の三党連立で発足しましたが、もともとイデオロギー(政治的思想)の違いから政権運営は不安視されていました。そのような中、財政をめぐる対立などから、2024年11月にFDPが連立を離脱したことでショルツ政権は少数与党に陥り、2月23日に連邦議会選挙(総選挙)が実施されることが決まりました。今回の選挙は経済が主要な争点です。企業減税や社会保険料率の引き下げに加え、エネルギー価格を下げるための原発再稼働やロシアからのガス購入の再開なども議論に上がっています。
選挙後は、支持率が最も高い最大野党、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のメルツ氏(CDU党首)が首相に指名される見込みです。ただ、同党だけでは過半数に満たないことから連立を組むとみられ、不安定な状況は続きそうです。また、昨年末以降、移民・難民問題も大きな争点となるなか、CDU・CSUは1月末に移民規制の厳格化を求める動議を、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の賛成票を得て可決させるなど政治が混迷しています。ドイツでは、ナチス・ドイツの過去から、極右勢力とは一定の距離をとってきた経緯もあり、今回の対応には身内からも批判が出ている模様です。
ロシアのエネルギーと中国の市場に頼ってきたドイツ、政治の混乱とともに経済の正常化にも時間がかかりそうです。

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