堅調に推移する米国の雇用統計(2017年10月)ハリケーンの影響が一巡し、雇用は増勢を回復
堅調に推移する米国の雇用統計(2017年10月)
【ポイント1】雇用は約26万人の増加
ハリケーンの影響が一巡
■2017年10月の非農業部門雇用者数は、前月比26.1万人の増加となりました。
■ブルームバーグ集計による市場予想の同31.3万人増を下回りましたが、9月が速報値の同3.3万人減から同1.8万人増に、5.1万人ほど上方修正されたことを踏まえると、ほぼ市場の予想通りの結果でした。
【ポイント2】失業率は低下
賃金上昇率は鈍化
■失業率は前月比0.1%ポイント低下の4.1%となりました。労働力人口(労働供給)が大幅に減少したためです。
■賃金上昇率は前月比ほぼ横這い、前年同月比では+2.4%となり、9月のそれぞれ+0.5%、+2.8%の増加から鈍化しました。物価の上昇が緩慢なことなど、売上高を大きく伸ばし難い環境にあることから、企業が賃金を含むコスト全体の抑制に力を入れているためと考えられます。
【今後の展開】金融政策の正常化は緩やかに進められる見通し
■3日の米国市場では、株価、債券価格とも上昇(債券利回りは低下)しました。雇用統計のうち雇用者数、賃金上昇率がともに市場予想に届かなかったこと、米連邦準備制度理事会(FRB)次期議長に、イエレン議長の路線の後継者とされるパウエルFRB理事が指名されたことなどから、利上げの速度は緩やかになると見られたためです。
■米景気・雇用が順調な拡大を続けていることから、FRBは、利上げを継続すると予想されます。もっとも、賃金、物価の上昇率は緩慢なものにとどまっています。イエレンFRB議長の後継者にパウエルFRB理事が指名されたことを考え合わせると、今後もFRBは「緩やかなペースでの金融緩和の解除」を続けると見られます。
(2017年 11月 6日)
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