金融緩和が狙う『インフレ期待』と物価の上昇
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日銀は、2013年4月導入の「量的・質的金融緩和」に始まり、積極的な金融緩和を推進しています。こうした積極的な金融緩和は、人々の『インフレ期待』に直接働きかけることで物価を上昇させることを目的の1つとしています。経済の好転と人手不足などにより、物価は徐々に上昇しつつありますが、日銀の金融緩和の認知度とそれに伴う『インフレ期待』を高めることが今後の物価上昇に必要と思われます。 |
【ポイント1】日銀は2%の「物価安定の目標」を掲げ、金融緩和を推進
日本経済は好転、物価目標の達成には遠いもののデフレから脱却
■日銀は、2013年1月に2%の「物価安定の目標」を掲げ、同年4月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。その後、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、金融緩和は強化されてきました。こうした日銀の一連の金融緩和政策もあり、2013年以降日本経済は好転し、インフレ率はプラス圏に浮上しました。日銀の2%の「物価安定の目標」の達成には未だ遠いものの、デフレ状態からは脱却したと言える状況になっています。
【ポイント2】金融緩和で『インフレ期待』に働きかけ
買いだめや在庫積み増しなどの行動が物価上昇を後押し
■日銀の積極的な金融緩和は、人々の『インフレ期待』に直接働きかけることを目的の1つとしています。
■例えば、金融緩和により経済が好転し、人々が物価上昇を予想すると、買いだめや買い占め、企業の在庫積み増しなどの行動が起こると考えられます。これらなどにより需要が供給を上回るようになると、実際に物価が上昇したり、物価上昇率が加速すると考えられます。
【今後の展開】金融緩和の認知度向上などが『インフレ期待』の高まりに繋がる
■日銀は年4回の「生活意識に関するアンケート調査」を行っています。この中に、「物価に対する実感」の項目があり、『インフレ期待』の参考になります。最新2017年9月調査の結果では、63.2%が「1年前と比べて物価が(かなり/少し)上がった」と回答しました。また、1年後の物価について、70.4%が「(かなり/少し)上がる」との見方を示しました。最近の日本経済は、人手不足などから幅広い分野で値上げが実施されつつあり、物価上昇の実感及び今後の上昇予想の割合が高くなっていると考えられます。
■一方、同調査での、2%の「物価安定の目標」を知っているとの回答は26.7%、日銀が積極的な金融緩和を行っていることを知っているとの回答は16.5%にとどまりました。今後、日銀の物価上昇に向けた積極的な金融緩和に対する認知度が高まり、『インフレ期待』が高まれば、実際の物価上昇へと繋がることが期待されます。
(2017年 11月 1日)
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