日本株式市場の見通し 2年ぶりの2万600円台、これからどうなる
日本株式市場の見通し 2年ぶりの2万600円台、これからどうなる
【ポイント1】2年ぶりの2万600円台
好調なグローバル景況感が下支え
■日経平均株価は10月3日に2万614.07円と年初来高値を更新しました。2万600円台は2015年8月17日以来です。
■2日に米国で発表された9月の製造業景況感指数が13年4カ月ぶりの高水準となる好調ぶりを背景に、米国の主要株価指数が史上最高値を更新したことや、円安・ドル高が進んだことが追い風となりました。日本でも2日に発表された日銀短観で現状の景況感が2007年9月以来、10年ぶりの高水準となりました。また、9月30日には中国の製造業PMIも2012年4月以来の高水準となるなど、好調なグローバル景況感が相場を下支えしています。加えて、市場では、総選挙で与党の過半数維持とアベノミクスの進展に対する期待もあるようです。
【ポイント2】2万1,000円超に壁なし
売買高の壁は越えられる
■株価水準が2万600円台に戻ったことで次の節目を探る展開となりそうです。日経平均株価と2011年以降の売買高の価格帯別分布を見ると、1万9,500円、2万円、2万500円に集中しています。2万600円台はこうした売買高の壁を越えたところに位置しています。最後の壁は2万1,000円で、それを越えると売買高の壁はありません(2011年1月4日以降の売買高で計算)。
■10月は総選挙の動向を注視する必要がありますが、選挙後も好業績が株価を支えると考えられます。11月には2017年度の中間決算の発表が本格化します。日銀短観で示された企業の想定円ドルレート(1ドル=109.29円)と足元の水準にはかい離があり、業績の上振れ期待が強まると考えられ、売買高の壁はいずれ越えられると思われます。
【今後の展開】自民が過半数を維持すれば、株式市場は堅調に推移か
10月の注目材料となる衆議院選挙での主要各党の政策とその実現性などについて確認しましょう。
■共同通信の調査(9月23日・24日、9月30日・10月1日)によれば、①希望の党設立後も支持政党を決めていない態度保留者が40%超と多数、②自民党の支持率が若干低下し、共産党支持率が若干上昇、③希望の党の支持率は「小池新党+民進党」の支持率と比較して明確な変化が認められない、といった傾向が見られました。どの政党にも有権者の風はまだ吹いておらず、今後の政策論議が待たれます。
■一方、獲得議席は、非常に流動的ですが、自民党による単独過半数は微妙との見方が多いようです。
■公約や政策方針については、希望の党、立憲民主党はまだ、公約を公表しておらず、経済政策の詳細は不明です。
■自民党、希望の党、立憲民主党の政策の主な相違点は、①消費増税、②憲法改正、③エネルギー政策です。自民党、希望の党は消費増税、エネルギー政策が異なるものの、憲法改正、安全保障は大枠で同じ方向性と考えられます。一方、自民党と立憲民主党はすべてにおいて方向性が異なります。
■市場では、与党の勝利と安倍政権の求心力の高まりに期待が集まっています。自公で過半数を取れれば、財政・金融政策は変化しない見通しです。
(2017年 10月 4日)
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