FRBの『バランスシート縮小』って何?
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バランスシートとは、貸借対照表のことであり、財務の状態を表します。米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートは、2008年の深刻な景気後退への対応として、債券購入等により資金を市中に大量供給した結果、急膨張しました。景気が拡大軌道に乗った現在、膨張したバランスシートを通常に戻す(=『バランスシート縮小』)ことがFRBの課題となっています。 |
【ポイント1】 リーマンショックへの対応で膨らんだFRBのバランスシート
巨額の資金を市中に供給するため、国債やMBSを大量に購入
■米国のFRBは、リーマンショックを契機とする景気後退を受け、QEと呼ばれる量的緩和策を2009年から14年にかけ3度にわたって実施しました。米国の国債や政府支援企業の発行するMBS(住宅ローン担保証券)等を購入することによって、市中に大量の資金を供給したのです。その結果、FRBのバランスシートは2007年末の9,148億ドルから14年末の約4兆4,978億ドルまで拡大しました。QE終了後は、満期の到来した国債等を再投資することによって、バランスシートの規模を一定の水準に保ってきました。
【ポイント2】 今年内に『バランスシート縮小』開始の見込み
まずは満期のきた保有有価証券の再投資を縮小の予定
■17年に入り、①米景気が回復軌道に乗ってきた、②将来の景気後退に備え、金融緩和の手段を整える(債券購入を再度実施できる体制を整える)必要がある等の理由から、『バランスシート縮小』の方針を打ち出しました。保有債券の量を減らしていくわけですが、市場で直接売却すると需給を崩す恐れが強いため、満期の到来した債券の再投資を縮小し、徐々に減らしていくこととしました。
■17年5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、保有有価証券の償還金の再投資縮小の具体的な方法が示されました。再投資をしない額の上限を当初は月間100億ドルとし、最終的には同500億ドルまで増やすというものです。開始時期は、年内となる見通しです。早ければ、9月19日、20日に開催される次回FOMCで決定、公表されると予想されます。
【今後の展開】 金融市場への影響は限定的と見られる
■FRBによる『バランスシート縮小』は金融引き締めと同様の効果がありますが、①景気や金融市場の動向に配慮して進められる見通し、②既に縮小の方針、具体的な方法が示されている等を踏まえると、金融市場への影響は限定的と考えられます。
■現状では、FRBが適正と考えるバランスシートの規模がどの程度のものなのか、明らかになっていません。今後は「FRBが何処までバランスシートを縮小させていくのか」が、利上げのペースとともに、焦点になると考えられます。
(2017年 9月 15日)
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