増勢を保つ米国の雇用統計(2017年8月)雇用の伸びは鈍化したが、基調はしっかりしている
増勢を保つ米国の雇用統計(2017年8月)雇用の伸びは鈍化したが、基調はしっかりしている
【ポイント1】雇用は約16万人の増加
夏季休暇等の影響でやや鈍化
■2017年8月の非農業部門雇用者数は、前月比15.6万人の増加となりました。
■前月の実績である同18.9万人増、ブルームバーグ集計による市場予想の同18.0万人増を下回りましたが、①8月は夏季休暇の影響等で統計に歪みが生じやすい、②8月のISM製造業景況感指数は堅調だった等を踏まえると、労働市場の基調に変化が生じたわけではないと考えられます。
【ポイント2】失業率は小幅に上昇
賃金は引き続き緩やかに増加
■失業率は4.4%でした。前月の4.3%からは0.1%ポイントの上昇となります。就業者数が減ったためですが、雇用者数と同様に振れの大きい指標であり、一時的なものと見られます。
■賃金上昇率は前月比で0.1%、前年同月比では2.5%でした。労働需給は引き締まってきましたが、賃金の増加率に加速する気配は見られません。企業がコスト削減のため、賃上げを抑制していることが原因と考えられます。
【今後の展開】金融政策の正常化は緩やかに進められる見通し
■8月の雇用統計で雇用者数は市場予想に届かなかったものの、同じ日に公表された同月のISM製造業景況感指数が58.8と、11年4月につけた59.1以来の高い水準になったこと受け、9月1日の米国市場では株価が上昇、債券価格は下落(利回りは上昇)しました。一方、外為市場では、米ドルが円に対して上昇しました。
■米景気・雇用の拡大を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げの継続に加え、近い将来、FRB保有資産の圧縮に踏み切ると予想されます。ただし、物価上昇率が低い水準に止まっていることから、金融政策の正常化は慎重に進められると見られます。このため、景気や金融市場に及ぼす影響は限定的と考えられます。
(2017年 9月 4日)
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