『出遅れ業種』の株価修正はあるか?(日本)

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世界的に景気回復が続いています。日本企業の4-6月期決算を見ても、景気回復の恩恵が特に製造業において幅広い業種に広がり始めました。ところが各業種の株価推移をみると、景気と関連の強い業種のなかでも、上昇率上位の化学などと下位の鉱業、海運業、鉄鋼などでは、上昇率に極めて大きな乖離があります。上昇率下位の『出遅れ業種』(3業種)の株価修正はあるのでしょうか?

【ポイント1】景気敏感株内の5年間の相対株価に乖離

鉱業、海運業、鉄鋼3業種の出遅れ顕著

 

■景気回復感が強まったため過去1年間では、化学、電気機器など景気と関連の高い業種の株価が堅調です。

■一方、過去5年間(2017年7月末時点)の景気敏感業種の株価推移を東証株価指数(TOPIX)対比でみると、化学(+63.4%)、建設業(+58.5%)、電気機器(+36.1%)などに対して、鉱業(▲121.1%)、海運業(▲75.4%)、鉄鋼(▲40.5%)の3業種の株価の出遅れ感が目立ちます。

 

 

【ポイント2】『出遅れ業種』は市況低迷が影響

過大投資が背景

 

■『出遅れ業種』の株価低迷は、需給の緩みによる市況低迷が主因です。鉱業では5年前1バレル100ドル程度の原油価格が45ドル程度に低下しました。海運業は鉄鉱石、石炭などを運搬する不定期船の運賃指数であるバルチック海運指数が2008年の高値から一時90%以上下落、鉄鋼は中国の需要を大幅に上回る過剰設備などが影響しました。いずれも過去の過大投資が要因とみています。

 

 

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【今後の展開】中期的には株価上昇余地

設備廃棄、提携、合併等に注目

 

■鉱業については原油価格は1バレル45ドル程度の水準では、コストの高い鉱区の新規投資の凍結が予想されます。産油国は財政的に厳しく減産を継続する公算が強いと思われます。

■海運業については現状の運賃水準では世界の上位企業でも利益が出にくい状況にあり、提携や合併への動きが強まっています。鉄鋼については中国政府主導で計画的な減産が行われています。

■3業種の特徴として需給調整に時間を要する反面、需給均衡時には想定以上の利益が確保できる傾向があります。また3 業種の主要銘柄は2007 ~2008年に高値をつけ、株価調整期間も約10年となり、PBRは1倍を大きく下回っています。景気回復が継続すれば、次第に需給が均衡に向かい、『出遅れ業種』は相対株価の乖離が修正される可能性があります。

 

 

(2017年 8月 28日)

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