商業銀行は「融資基準」をやや強化(米国)
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米連邦準備制度理事会(FRB)は、商業銀行の融資担当責任者を対象に、銀行の「融資基準」や借手の資金需要の動向に関するヒアリング調査(Senior Loan Officer Opinion Survey)を四半期ごとに実施しています。人間に例えれば血液に相当する資金が、経済の中を正常に循環しているかどうかを検査するのが目的です。直近の調査は国内銀行72行を対象に、2017年3月から4月にかけて実施されました。 |
【ポイント1】「融資基準」はやや厳格化
資金需要は鈍化の方向
■直近の調査結果によれば、「「融資基準」を強化」との回答比率から「「融資基準」を緩和」との回答比率を差し引いた融資基準総合DIは+5.0、「資金需要は旺盛」との回答比率から「資金需要は減退」との回答比率を差し引いた資金需要総合DIは▲5.5となりました(融資基準総合DI、資金需要総合DIは、商工業、商業用不動産、住宅、消費者向け融資の各融資基準DIおよび資金需要DIを、融資量全体に占める各融資量の割合で加重平均したもので、三井住友アセットマネジメントが算出)。
【ポイント2】商業用不動産向けは引き締め、企業向けと住宅ローンは緩和
自動車ローンの融資基準が厳格化
■融資基準総合DIは16年1-3月期までマイナスでしたが、16年4-6月期にプラスに転換しました。FRBによる15年12月の利上げ再開以降、金融環境が徐々に引き締まってきたことを示しています。
■融資先別に見ると、商業用不動産と自動車ローンの「融資基準」が引き続き強化されました。商業用不動産向け融資強化の理由として挙げられたのは、価格や空室率などの先行きに対する不透明感などです。
■これに対して、商工業向け融資と住宅ローンの基準は、前期に比べ緩和されました。商工業向け融資基準緩和の理由として、他行との融資競争の激化、景気の先行き不透明感の後退などが指摘されました。
【今後の展開】融資基準は緩やかな経済成長を示唆
■融資基準総合DIと、前年比で測った実質GDP成長率との間には負の相関関係(DIが低下、つまり金融が緩和すれば、成長率が高まるという関係)が認められます。しかも融資基準DIが、実質GDP成長率に2四半期ほど先行しています。
■この関係から判断すると、米国の17年の実質成長率は前年比で+2%程度と、堅調な拡大が見込まれます。金融政策は引き締めの方向にありますが、そのペースは緩やかであり、景気の拡大基調そのものを損なうことはなさそうです。
(2017年 5月 11日)
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