「FOMC議事要旨」と金融政策(米国)
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「米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨」は、FOMCから3週間後に公表されます。FOMC終了直後に公表される声明文で景気や物価、金融政策に関する判断が明らかにされますが、議事要旨はその判断に至るまでの議論が記録され、より詳細な情報を得ることができます。直近2017年3月14日~15日に開催されたFOMCでは、0.25%の利上げを実施しました。その内容に関する議事要旨が、4月5日に公表されました。 |
【ポイント1】緩やかな利上げの継続が妥当
現在の金利は依然として低く、金融政策の自由度が小さい
■公表された議事要旨によれば、ほぼすべての参加者が、「これまでに得られた情報に基づけば、今会合で0.25%の利上げを実施するのが妥当」と判断しました。先行きについても、ほとんどの参加者が従来通り「緩やかな利上げが適切」と考えています。
■緩やかな利上げを支持する理由として、①金融政策の自由度が低い(政策金利の水準が低いため、利下げの余地が小さい)、②それゆえに、利上げを急いで景気を後退に陥らせるようなことは避けたい、③景気を刺激も抑制もしない、いわゆる中立金利が低い水準まで下がっている可能性がある、などが挙げられています。
【ポイント2】保有有価証券の年内売却開始の可能性を示唆
経済見通しに対するリスクは上下均衡
■市場で注目されている、FRBが保有する有価証券の再投資については、多くの参加者が今年後半に変更するのが妥当となろうとの見方で一致しました。
■経済情勢については、トランプ政権による拡張的な財政政策が経済見通しに対する上振れリスクとされる一方、同大統領の移民制限政策や、保護主義的通商政策が下振れリスクとして指摘されました。金融環境に関しては、依然として緩和的と評価し、商業用不動産、新興国の株式、ハイイールド債券等の価格上昇に言及しました。
【今後の展開】年内あと2回程度の利上げ見通し
■4月5日の米国市場では、FRB保有の有価証券の年内売却開始の可能性が示唆されたこと、トランプ政権の税制改革が遅れるとの警戒感が浮上したことなどにより、株価が下落しました。他方、債券の利回りは、有価証券の売却開始が利上げ回数の減少につながるとの思惑から低下しました。
■米国の景気は拡大基調を維持していますが、ドル高などの影響から物価上昇率がFRBの目標である+2%に到達するのは18年以降と予想されます。利上げを急がねばならないような状況にはなく、今年の利上げは年央と年末の計2回(3月の利上げを含め合計3回)にとどまる見込みです。
(2017年 4月 7日)
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